「《災害竜ボルケーノ・エラプション》の効果! 場に出た時、相手に一点のダメージじゃ!」
「いいわよ別に! 一点ぐらい! ループしないんなら怖くないわ!」
さらにアタックステップに移行。
「まずは《災害竜ボルケーノ・エラプション》で直接攻撃! 昂りのラヴァ・コンバッション!」
「それは《女帝眷龍ミクロコスモス》でブロック! そしてその時、《女帝眷龍ダークオビディエンス》の効果で相手のドラゴンのコストを四下げる! 返り討ちよ!」
バトルで破壊された《災害竜ボルケーノ・エラプション》は枝垂のデッキの一番下に戻る。
「続け! 《災害竜ダウンバースト》!」
「しまった!」
この時、紅葉の場には《女帝眷龍ダークオビディエンス》がいた。が、それはデメリット効果でブロックできないのだ。だから攻撃は紅葉の場を素通りし、六点削られた。これで残りは二十三点。
「まだじゃ! 《災害竜オゾンホール》と《災害竜プラントペスト》でも直接攻撃!」
さらに紅葉に十二点のダメージ。
「や、やるわね…!」
「われはこれでターンエンド」
枝垂の猛攻が終わった。紅葉の場は荒らされなかったが、一気に体力が減った。
(でもまだ十一点残ってる! それに私はアイツの超大型のドラゴンを除去できた! どう考えてもリードしてるのは私の方のはず! なのに…)
不思議なことに、枝垂の表情はこわばっていない。寧ろ逆で余裕があるように見えるのだ。
(でもいいわ! 薄気味悪いその顔の血の気を完全に絶ってやる!)
紅葉のターン。まだ枝垂の場に疲労状態ではあるが、《災害竜プラントペスト》がいるのでエネルギーチャージを行う。
「私は新たに《女帝眷龍デザートブレード》を召喚!」
コストは八。そして相手のドラゴンが女帝眷龍を攻撃できなくなるという効果を持っている。つまりは紅葉は、勝ちに来たのだ。
「アタックステップ! 私はまず《女帝眷龍ダーティーウィング》で、《災害竜オゾンホール》を攻撃!」
《女帝眷龍ダーティーウィング》は相手プレイヤーに直接攻撃できないので、まずはこちらで攻撃を無効にできるドラゴンを狙う。
(枝垂の手札は三枚…。絶対にこの攻撃は止めるはず!)
その読みは当たっている。
「われは《災害竜オゾンホール》の効果! 手札の《災害竜カルデラ》を捨てて、そなたのコスト九以下のドラゴン…《女帝眷龍ダーティーウィング》の攻撃を無効化する」
「では残りの女帝眷龍で、直接攻撃するわ!」
実は枝垂の残りの手札は二枚とも、トリガーカード。だからこれ以上、《災害竜オゾンホール》の効果は使えない。コスト七の《女帝眷龍ミクロコスモス》、コスト八の《女帝眷龍ダークオビディエンス》と《女帝眷龍デザートブレード》が容赦なく枝垂の体力を減らす。
「一気に二十三点! これでお前の体力は残り二点と風前の灯火! もう普通の呼吸でも消せそうよ?」
「では…トリガーカード、《マンメイド・ディザスター》を発動! コストの合計がこのターンに受けたダメージ以下になるように自分のデッキから災害竜を選んで場に出す」
「えっ……てことは、二十三まで?」
「安心せよ、二体しか出さん。一体目は《災害竜タイダル・ウェーブ》! そしてもう一体は、《災害竜アース・クエイク》!」
その効果で、枝垂は二枚ドローする。さらに《災害竜アース・クエイク》の効果を使おうとした時、
「待ちなさいよ? お前の墓地にドラゴンはいないでしょう? だって墓地に行くドラゴンは全て《女帝眷龍ミクロコスモス》の効果でデッキの一番下に…」
「それは、われの場から墓地に送られた場合であろう? われは《災害竜オゾンホール》の効果で手札からドラゴンを捨てておる! 蘇れ、《災害竜カルデラ》!」
三体目のドラゴンが、復活。そしてドローし手札を補充。
「こ、こんなことが、あり得ないわ!」
「現実じゃ、これがな……」
そして枝垂にターンが移る。
「われの場の災害竜の一斉攻撃を受ければ、そなたの体力は尽きる。まずは《災害竜アース・クエイク》で攻撃! 蠢きのコンティネンタル・クラック!」
「ま、待ちなさい…! 私はトリガーカード、《女帝の崩壊》を発動! その効果で私の場の女帝眷龍を全て破壊し、破壊した数プラス一枚、相手は自分の場のドラゴンを選んで破壊する…!」
紅葉の場は、全て破壊された。そして枝垂は攻撃中の《災害竜アース・クエイク》以外の場の災害竜を破壊。
「う、うぐうう!」
これで紅葉は残り体力一点に加え、場のドラゴンはゼロ。状況は枝垂よりも悪いはず。だが、
(顔から、勝負の熱が引いておらん…。まだ何か希望があるのだな…?)
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