カード・オブ・ドラゴン

杜都醍醐
杜都醍醐

CARD 66

公開日時: 2020年9月16日(水) 14:00
文字数:2,322

「君がずっと警戒しているカードだ。さらに私は、コスト九の《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》を召喚する!」


 それからアタックステップに移行。まずは《ヌークリア・ウォー・ドラゴン》で《リヴァイムート・ポセイドン》に攻撃。続いて《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》で《リヴァイムート・レムリア》へ攻撃。この二撃でリュウシは五点の体力を失った。


「ターン終了だ。さあ、震えて待て!」


 次のターン、確実に《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》が来る。そう考えると盤面を強化しても無意味。


「そうかな? オレはコスト十、《リヴァイムート・バミューダΔ》を召喚!」


 効果を使い過ぎて、輝明戦で敗因を作ってしまったカード。だが今は、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》にのみ警戒する。


「そして《ヌークリア・ウォー・ドラゴン》に攻撃だ!」


 コストは《リヴァイムート・バミューダΔ》が勝っているので、井筒に二点のダメージ。だが、


「《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》の効果! 私がダメージを受けた場合、君にも同じ数値分受けてもらう」

「何?」


 これで井筒は残り体力二十点。リュウシは十七点。


「先にソイツを潰すべきだったか? だが、《リヴァイムート・メガラニカ》で相打ちに持ち込める! 攻撃だ!」

「《ヌークリア・ディベロップメント・ドラゴン》でブロックしよう」

「く……っ!」


 返しのターンが始まる。


「だがお前がドラゴンを出しても! 《リヴァイムート・バミューダΔ》で効果も攻撃も無効にできる!」

「君は、私が《ヌークリア・ディベロップメント・ドラゴン》の効果を最初に使った時、何を手札に招き入れたのかを忘れたのかい?」

「え…?」

「私はコストを十支払い! 招かれざる冬を召喚する! 来い、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》!」


 ついにその召喚を許してしまう。そして効果を発動。


「オレは《リヴァイムート・バミューダΔ》の効果発動! 手札を一枚捨てることで、その効果を……」

「その効果に対し、私もドラゴンの効果を使わせてもらおう。《ヌークリア・シェルター・ドラゴン》! これで君の《リヴァイムート・バミューダΔ》の効果は無効になった」


 安全を確認すると、井筒は《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》の効果を使った。


「オレの、リヴァイムートたちが……」


 水流は死の灰にせき止められ、途絶えた。


「そして攻撃! 《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》!」

「……トリガーカード、《グレイシャームーン》発動! これでお前のドラゴンを全て疲労状態に! さらにオレの場にはドラゴンがいないので、次のお前のスタートステップで回復はできない!」

「いいだろう。これで終わっては詰まらなさすぎるからな。ターンを終了」

「オレの……ターン!」


 井筒の二体のドラゴンは今、疲労状態。だが辛い状況であることには変わりない。リュウシの方が残り体力が少ないために、ドラゴンを無視して直接攻撃で勝負を決めようにも、《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》がそれを阻む。盤面を強化しようにも、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》がそれを許さない。


(となるとこのターン、オレができることは……?)


 次のターン、井筒の二体のドラゴンは疲労状態から回復はしない。《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》は効果を使えば、他のドラゴンで攻撃できなくなる。


「オレは二体目の、《リヴァイムート・レムリア》を召喚し、二枚ドローする。また《リヴァイムート・ネプチューン》を引いたので、これを場へ!」


 これで、井筒は《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》の効果を使うだろう。だがそうなれば、攻撃は仕掛けて来ない。


「……と、考えているなら、それは不正解だ。私は《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》を召喚!」

「あ、あれは確か! 疲労状態でないドラゴンにも攻撃できる効果を…!」


 当然、リュウシの二体のドラゴンに《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》は突っ込んでくる。


「ぐわわああ!」


 六点のダメージが入り、残り体力は十一点。


「さあ、君のターンだぞ…?」

「オレの、ターン……! ドローしてエネルギーチャージ!」


 今、《リヴァイムート・ニヴルヘイム》を召喚しても、《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》にブロックされてしまう。


(八方塞がり、か………。だが!)


 だが、まだ諦めていない。いや、諦められない。ここでリュウシが勝負から降りれば、カード・オブ・ドラゴンは終わってしまう。


(それだけはできない! オレの肩には、全国のドラゴンテイマーの未来が乗っかっているんだ! 白旗何て、死んでも揚げねえぞ!)


 スペルカードを使う。


「《デストロイバース》発動!」

「スペルカードで《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》を狙ってきたか。だが私はトリガーカード、《ガイガー・カウンター》を発動だ」


 相手がカードの効果もしくは攻撃でドラゴンを選ぶとき、その対象を井筒が決められるようになるカード。


「私は《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》を破壊して、一枚ドローさせてもらおう」

「だろうな……。ソイツは直接攻撃できないドラゴン。全体攻撃こそできるが、そもそも全体除去効果持ちの《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》がいれば十分なことだ」


 リュウシの本命は、それではないのだ。


「どういうことだ?」


 井筒はここで困惑する。


(確か【リヴァイムート】には、この状況を打開できるカードなどないはず? なのにどうして、そんな余裕でいられる?)


 カード・オブ・ドラゴンの創造者ゆえに、カテゴリー内のドラゴンの効果は把握している。このターンにリュウシに残された使用可能なエネルギープールのカードはあと八枚。

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