「君がずっと警戒しているカードだ。さらに私は、コスト九の《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》を召喚する!」
それからアタックステップに移行。まずは《ヌークリア・ウォー・ドラゴン》で《リヴァイムート・ポセイドン》に攻撃。続いて《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》で《リヴァイムート・レムリア》へ攻撃。この二撃でリュウシは五点の体力を失った。
「ターン終了だ。さあ、震えて待て!」
次のターン、確実に《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》が来る。そう考えると盤面を強化しても無意味。
「そうかな? オレはコスト十、《リヴァイムート・バミューダΔ》を召喚!」
効果を使い過ぎて、輝明戦で敗因を作ってしまったカード。だが今は、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》にのみ警戒する。
「そして《ヌークリア・ウォー・ドラゴン》に攻撃だ!」
コストは《リヴァイムート・バミューダΔ》が勝っているので、井筒に二点のダメージ。だが、
「《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》の効果! 私がダメージを受けた場合、君にも同じ数値分受けてもらう」
「何?」
これで井筒は残り体力二十点。リュウシは十七点。
「先にソイツを潰すべきだったか? だが、《リヴァイムート・メガラニカ》で相打ちに持ち込める! 攻撃だ!」
「《ヌークリア・ディベロップメント・ドラゴン》でブロックしよう」
「く……っ!」
返しのターンが始まる。
「だがお前がドラゴンを出しても! 《リヴァイムート・バミューダΔ》で効果も攻撃も無効にできる!」
「君は、私が《ヌークリア・ディベロップメント・ドラゴン》の効果を最初に使った時、何を手札に招き入れたのかを忘れたのかい?」
「え…?」
「私はコストを十支払い! 招かれざる冬を召喚する! 来い、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》!」
ついにその召喚を許してしまう。そして効果を発動。
「オレは《リヴァイムート・バミューダΔ》の効果発動! 手札を一枚捨てることで、その効果を……」
「その効果に対し、私もドラゴンの効果を使わせてもらおう。《ヌークリア・シェルター・ドラゴン》! これで君の《リヴァイムート・バミューダΔ》の効果は無効になった」
安全を確認すると、井筒は《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》の効果を使った。
「オレの、リヴァイムートたちが……」
水流は死の灰にせき止められ、途絶えた。
「そして攻撃! 《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》!」
「……トリガーカード、《グレイシャームーン》発動! これでお前のドラゴンを全て疲労状態に! さらにオレの場にはドラゴンがいないので、次のお前のスタートステップで回復はできない!」
「いいだろう。これで終わっては詰まらなさすぎるからな。ターンを終了」
「オレの……ターン!」
井筒の二体のドラゴンは今、疲労状態。だが辛い状況であることには変わりない。リュウシの方が残り体力が少ないために、ドラゴンを無視して直接攻撃で勝負を決めようにも、《ヌークリア・エクスプロージョン・ドラゴン》がそれを阻む。盤面を強化しようにも、《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》がそれを許さない。
(となるとこのターン、オレができることは……?)
次のターン、井筒の二体のドラゴンは疲労状態から回復はしない。《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》は効果を使えば、他のドラゴンで攻撃できなくなる。
「オレは二体目の、《リヴァイムート・レムリア》を召喚し、二枚ドローする。また《リヴァイムート・ネプチューン》を引いたので、これを場へ!」
これで、井筒は《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》の効果を使うだろう。だがそうなれば、攻撃は仕掛けて来ない。
「……と、考えているなら、それは不正解だ。私は《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》を召喚!」
「あ、あれは確か! 疲労状態でないドラゴンにも攻撃できる効果を…!」
当然、リュウシの二体のドラゴンに《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》は突っ込んでくる。
「ぐわわああ!」
六点のダメージが入り、残り体力は十一点。
「さあ、君のターンだぞ…?」
「オレの、ターン……! ドローしてエネルギーチャージ!」
今、《リヴァイムート・ニヴルヘイム》を召喚しても、《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》にブロックされてしまう。
(八方塞がり、か………。だが!)
だが、まだ諦めていない。いや、諦められない。ここでリュウシが勝負から降りれば、カード・オブ・ドラゴンは終わってしまう。
(それだけはできない! オレの肩には、全国のドラゴンテイマーの未来が乗っかっているんだ! 白旗何て、死んでも揚げねえぞ!)
スペルカードを使う。
「《デストロイバース》発動!」
「スペルカードで《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》を狙ってきたか。だが私はトリガーカード、《ガイガー・カウンター》を発動だ」
相手がカードの効果もしくは攻撃でドラゴンを選ぶとき、その対象を井筒が決められるようになるカード。
「私は《ヌークリア・プロリファレーション・ドラゴン》を破壊して、一枚ドローさせてもらおう」
「だろうな……。ソイツは直接攻撃できないドラゴン。全体攻撃こそできるが、そもそも全体除去効果持ちの《ヌークリア・ウィンター・ドラゴン》がいれば十分なことだ」
リュウシの本命は、それではないのだ。
「どういうことだ?」
井筒はここで困惑する。
(確か【リヴァイムート】には、この状況を打開できるカードなどないはず? なのにどうして、そんな余裕でいられる?)
カード・オブ・ドラゴンの創造者ゆえに、カテゴリー内のドラゴンの効果は把握している。このターンにリュウシに残された使用可能なエネルギープールのカードはあと八枚。
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