【~~最強のアンデッドと化した元英雄~~】 暗黒騎士《魔王》として女聖騎士(勇者)と対決・・・するはずが・・・? えっ! 悪堕ちっ!? (;´゜д゜`)❗❕

ノートリンデン防衛戦
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

再度の襲撃

公開日時: 2021年11月7日(日) 12:07
文字数:3,043

「・・・それで、俺を連れて何処に行こうってんだよ?」


「まずは、ハイハルムハイム、その次はグンツハウゼンにっね」


「そこで、軍閥、鉄兜兵団の親玉たるゲプハルト・フォン・ダウプナー将軍を殺る」


 クロトは、何処へ行くのか気になり、シノブとリーヌス達に聞いた。



「ゲップップ?」


「もう、そう言うの要らないからっ!」


「全く、見込み違いだったか・・・」


 冗談を言った、クロト。

 そんな下らない彼に対して、シノブとリーヌス達は呆れてしまう。



「冗談、ジョーダンッ! マイケル・ジョーダンって、母ちゃんの口癖でな・・・と、そんな事より早く目てっ?」


『ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!』


 クロトが懲りずに冗談を言っていると、急に何処かから砲撃音が木霊した。



『ドンッ! ドォンッ! ドカンッ! ドンッ!』


 激しい着弾音と砲声が鳴り響き、町の彼方此方に敵の攻撃が降り注ぐ。



「なっ! 何だ、また敵の攻撃かよっ!」


「どうやら、そうらしいわねっ!」


「早く市民を避難させないとっ!」


 クロトは、慌てて剣を抜き取る。

 シノブも短機関銃へルリーゲルを構え、リーヌスも薙刀クーゼを構える。


 そんな三人の所に、緑色の着物姿をした黒髪ロングの女性が現れた。



「報告しますっ! 町の北側に敵の砲撃部隊が展開し、更に西側・東側からも歩兵部隊が進軍中とっ!」


「んっ! 分かったわ、貴女達も直ぐに南に向かってっ!」


「私の隊には、西側へ急ぐように伝えてくれっ!」


 着物姿の女性は、頭を下げつつ報告すると、シノブとリーヌス達も彼女に伝令を頼む。



「おいっ! ちょっと待て、東側はどーーすんだよっ?」


「騎士団も居るでしょっ!」

 

「それに、そっちには別の仲間が居るから大丈夫だっ!」


 素早く走り去って行った、着物姿の女性を呼び止めるクロトだったが。

 シノブとリーヌス達からは、仲間が居ると言われるだけだった。



「じゃあ、私達は南へ向かうわよっ!」


「他の方角は連中の陽動だろう」


「あっ! お前らもって、チッ!」


 そう言って、シノブとリーヌス達も南へと走り出し、クロトも舌打ちしながら走り出した。



『ドンッ! ドンッ! ドンッ!』


『ドドドドドドドドッ!』


 町の東側からは、絶えず砲撃と銃撃による業音が聞こえてくる。



「クロト、あんたは東側へ言ってねっ!」


「向こうの方が攻撃は酷いようだからな」


「分かりましたよっ! たく、人使いが荒いぜっ!」


 更に走る速度を上げた、シノブとリーヌス達は屋根の上へと、ジャンプしながら去ってゆく。

 二人の姿を見ながら愚痴るクロトも、東側へと体を向けると、勢いよくジャンプして行った。



「さて、屋根の上から・・・」


 連なった赤い屋根から屋根へと、ジャンプしながらもクロトは東側の様子を探る。


 ここから見えるのは、町の外側から敵の姿がボンヤリと確認できるだけだ。

 緑色の草原を、複数の魔物と黒い戦車隊が走り、その後ろにはトラック等が見える。



「・・・魔物、黒いウォーワゴン、馬なし馬車《ワゴン》?」


 クロトは、呟きながら屋根を疾走していき、一気に町の外側へとやって来た。


 それから、屋根から飛び下りると周囲を見渡す。



「撃てっ! 早くしろっ!!」


 複数種類の迫撃砲を準備する、聖光騎士団の兵士たち。


 彼等は、他に重機関銃や野砲を何時でも射撃できるように準備していた。



「まだ、互いに射程距離にゃあ~~入ってないんだな」


 クロトは、走り回る兵士たちを見ながら呟く。

 そして、自身が先陣を切ろうと駆け出そうとした、その時。



『ドォーーーーンッ!』


「何っ!?」


 クロトの背後から急な爆発音がした。

 それが何かと、後ろに振り向いた彼が見たのは黒々とした赤目の大蛇だった。



「しまった、背後に回り込まれたぞっ!?」


「戦車隊は何処に行っちまったんだよっ!」


 慌てて、後ろを振り向いた兵士たち。



「なっ! コイツ、背後からの奇襲を狙ってたのかよっ!!」


 今のは爆発ではなく、大蛇が地中から飛び出した際に、道路の石畳が吹き飛んだ音だった。

 クロトは予期せぬ奇襲で驚いたが、直ぐに背中から大剣ツヴァイヘンダーを抜き取る。



「見た感じ、ビッグ・スネークをアンデッド化させた奴だな? じゃあ行くぜっ!!」


「グギャアアアアーーーー!!」


 本来なら薄緑色のビッグ・スネークが、黒く変色している。

 それで、クロトは魔皇軍がアンデッド化させたのだと分かった。


 大きな口を開いて、クロトを飲み込まんと迫る、ビッグ・スネーク。

 しかし、彼は怯まず逆に奴を目掛けて、一直線に駆け出して行った。



「うらっ!」


「グガーーーーーーーー❗️」


 クロトは、空中へと高く跳躍《ジャンプ》すると、大剣ツヴァイヘンダーを振り下ろす。


 それだけで、頭を真っ二つに叩き割られた、ビッグ・スネークは叫んだまま後ろに倒れた。



『ドォーーーーーー!!』


『シュタッ!』


「へっ! 決まったな」


 石畳の上に、ビッグ・スネークの太首が落下すると大きな音を木霊させた。


 それを見ながら格好つけて着地した、クロト。

 これで、一体目の敵を倒したかに思えたが、直ぐに次の敵が現れた。


 魔皇軍の歩兵部隊だ。



「何だ、何だ・・・ビッグ・スネークは殺られたのか?」


「あっ! 人間だ、撃ち殺せっ!」


 連中は、ビッグ・スネークの太い首の隙間から、ワラワラと蟻のように這い出して来る。

 G88小銃や短機関銃ベルグマンを構えた、スケルトン兵やゾンビ兵が狙いをクロトに定める。



「あぁ? 銃で俺を撃ち殺そうってか、良いぜ? やんなっ!」


『ドドドドドドドドドドドドッ!』


『ドンッ! ドンッ! ドンッ!』


 と言った、クロトの前で銃を撃とうとしていた、魔皇軍は両側の建物から撃たれてしまう。



「は? ・・・何で、コイツらは撃たれてんの?」


「それはーー? 私達が来たからよっ!」


『シュタッ!』


 クロトの眼前に着地した、女性。

 彼女は、小銃のように長い、騎兵拳銃マウザーラージリングKを持っている。




(・・・誰だ? この女は・・・) 


 人形のような、女性。

 彼女の容姿を、クロトは観察する。


 アーモンド型の翠色《すいしょく》の瞳。

 土のように黒い肌。

 黒いストレートロングヘアは、前髪ぱっつんだ。

 口は、プリズム・ピンク色の大きな唇が目立つ。



 服装は。


 上は、中東人の着るトーブようなピンク色の衣装。

 下には、白に近い灰色の乗馬ズボンと茶色いブーツを履いている。



「魔物を一撃で倒す強さから察するに、あんたが噂のクロトって、ワケかしら?」


「そうだぜ、あんたは?」


 黒肌女性は、騎兵拳銃ラージリングKを前に出す。

 そして、上からクリップ式の弾丸を落とすように装填する。



「ニャビルよっ! ニャビル・ワニ・カミス」


「ニャビルな、俺はクロト・プルーセンだっ! で・・・お前もシノブ&リーヌス達の仲間なんだよな?」


『ドォンッ!! パンッ! ドドドドッ! ダダッ!』


 ニャビルとクロト達は、互いに名を名乗ったが、そこへ再び戦闘音が聞こえてきた。


 二人は倒れた、ビッグ・スネークの向こう側に目を向ける。

 そちらからは、銃撃や砲撃を続ける音が聞こえてくるからだ。



「お喋りの続きは、走りながらにしましょっ!」


「分かった、じゃあ、さっさと行こうぜっ!!」


 増援に現れた敵を撃滅するべく、ニャビルとクロトは、真剣な顔で走り出した。



「みんなっ! 行くわよっ!」


 ニャビルの命令を聞いた、彼女と同じような格好をした、黒人の男女たちも家根の上を走る。



「部下が居るのか? 羨ましいぜ・・・」


(・・・まあーー俺はどちらかと言えば? 単独行動の方が好みなんだけどな・・・)


 そう呟きながら、クロトは彼等より先を走って行った。

 彼の行くべき、遠く向こう側からは絶え間ない機関銃の音が鳴り響いていた。

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