【~~最強のアンデッドと化した元英雄~~】 暗黒騎士《魔王》として女聖騎士(勇者)と対決・・・するはずが・・・? えっ! 悪堕ちっ!? (;´゜д゜`)❗❕

ノートリンデン防衛戦
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第0章 決戦

円形都市ノートリンデン防衛戦

公開日時: 2020年9月15日(火) 19:16
更新日時: 2021年11月5日(金) 09:48
文字数:3,018

 かなり高い、灰色の城壁に囲まれた、円形の都市ノートリンデン。

 

 ここは今、風すら吹かず、しんと不気味に静まりかえっていた。

 

 何故なら、壁上には多数の兵士と魔法使いが並ぶ。

 そして、壁前では多数の冒険者と傭兵が並んでいた。


 

「良いかっ! ここを守り切るぞっ! 絶対に退くなっ!」


 一人の青年。

 

 黒髪・黒目の彼が、二メートル程の禍々しい形状の武器。

 大剣ツヴァイヘンダーを両手に構えて叫ぶ。

 

 黒マントの下に、東方の戦士にして暗殺者。

 忍者のような黒装束を身に包んだ、彼は冒険者だ。

 

 壁を背後に立つ青年の眼前では、雑多な魔物が群れを成して迫ってきていた。

 ここには、世界各地から様々な冒険者《チンピラ》と傭兵《ヤクザ》が集まっている。


 それに、対する魔物の群れもだ。


 槍を構えた、東洋系の格闘家。

 サーベルを両手に握る、中東系の剣士。

 大きな弓を構えた、黒人系の弓使い。

 長い杖を抱えた、北欧系の魔法使い。

 南洋系の棍棒を肩に担ぐ、戦士。

 

 ビッグトード。

 ポイズン・キャタピラー。

 マウンテン・キャット。

 レイジ・クロウ。

 キラーウルウ。


 見れば、本当に様々な人間と生き物が居る。



「クロト、クロトーー! 東側から魔物の群れが来るぞ~~~~!? ここよりも多いっ!」


 東側の防衛部隊から伝令らしき男が来た。

 仕方がない、ここは他の冒険者と傭兵達に守って貰おう。

 

 と、クロトと呼ばれた青年は考え。



「分かった、そっちに向かう、皆行くぞっ!」


 早く行かねば、都市ノートリンデンに魔物が雪崩れ込む。



(・・・そうなれば此方は負ける? 東側に急ぎ、灰色の壁づたいに走れば・・・居た? 凄い魔物の数だ・・・)


 クロトが見た魔物たちは、まるで押し寄せる津波のようだ。

 しかし、そんな光景を前にしても彼は一切躊躇せず、仲間達を引き連れて立ち向かう。



「来るぞっ! 弓隊、弩隊、放てっ!!」


 壁上の傭兵が叫ぶと、弓兵・弩兵達は矢を発射した。


 弓から放たれた矢は、弧を描くように空を跳んでいく。

 弩から放たれた矢は、真っ直ぐに下に向かって跳んでいく。


 壁上から放たれた、二種類の矢は鋭い刃先で魔物を容赦なく襲う。


 

(・・・さて? あれで何匹を仕留められるか・・・)

 

 と考える、クロトは前列のリザードマンが今の攻撃で全て死んだのを視認した。


 だが、後列に位置する、アンデッド達は。

 


『ガアアァァァァァァァァッ!!!!』


(・・・五月蝿いな・・・アンデッド共めっ! 咆哮を上げてやがるっ! 奴等は頭に矢でも刺さらない限り動き続けるからな? 非常に厄介な相手だ・・・)

 

 さて、連中が来やがったぜ・・・と考えた、クロトは武器を持ち返る。

 

 乱戦ならば、大剣ツヴァイヘンダーより、他の剣を振るう方が良い。

 そう考えた彼は、大太刀オオタチと片手剣カッツバルゲルに持ち変える。


 この二刀流で行こう。

 そう考えた、クロトの耳に。



「敵が接近するっ! 魔法兵、射撃開始ぃーー!!」


(・・・指揮官の命令か魔法使い達は・・・おっ! 射ったな? 爆炎魔法だ・・・)


『ドーーンッ!!』


 と、指揮官の声と砲撃音が聞こえた。


 着弾して弾け飛ぶ、魔物の肉片と臓物。

 吹き上がる火炎は、それ等を包み込む。

 

 それで、魔物の粗方は吹き飛んだが・・・やはり、まだ敵は残っていた。



「突撃だぁーーーー!」


「うおおぉぉぉ!!」


「うらぁぁぁ~~~~!!」


 かき集められた、冒険者と傭兵達が突撃していく。

 そろそろ、行く時間だからな、俺もやってやるぜと思う、クロトは走る。



「うぉぉぉぉぉっ!!!!」


「グルルルルッ!?」


 早速、グールが来たので、クロトは右手のオオタチで首を跳ねてやった。


 次いで、他の敵も・・・。


 真っ赤なオオムカデ。

 ファット・ゾンビ。

 ポイズン・ミイラ。

 

 コイツ等もクロトにとっては、凄く邪魔な雑魚だ。

 群れの正面に突っ込んで、躍りながら回転するように両手を振るう。


 それで、右手の大太刀オオタチ。

 次いで、左手の片手剣カッツバルゲル。


 この二つで、敵を次々と切り裂いてやる。


 全身から棘が生えている、ニードル・ゾンビ。

 身長の高い、ブルー・スケルトン。

 筋肉ムキムキのマッスル・グール


 コイツ等も、クロトに取っては単なる雑魚に過ぎない。



「うらっ!!」


「退けぇっ!」


 俺だけではなく、他の熟練の冒険者《チンピラ》や傭兵《ヤクザ》達の活躍で大分敵が減っていく。


 どうやら、これでクロトを含む冒険者隊や傭兵隊は、第一波を凌いだようだ。



(・・・ん? あれは? 第二波だな・・・それにしてもまた凄い数だな・・・)


 大群で現れた、多数の魔物。

 

 中には、トロールやロック・ゴーレム等の大型の魔物も居る。


 これは本格的に、ヤバイ状況だ。

 

 クロトは良いが、相手が他の人間にはキツい強敵だからだ。

 

 トロールは、巨大な棍棒を振り回すだけで、冒険者を薙ぎ倒すだろう。

 ロック・ゴーレムは、大きな足で踏みつけるだけで、簡単に傭兵を潰してしまう。

 

 そんな強敵を相手にしても、クロトは動じない。



「ドラゴンだっ!」


「後方に敵の大群だっ!」


 敵に突っ込もうとした、クロトは叫び声を聞いた。

 

 壁上の魔法使い達が、杖を振って対空射撃を行い始めた。

 彼等の放つ、雷撃魔法や氷結魔法は空に吸い寄せられるように向かっていく。

 

 壁前では、冒険者と傭兵達が怯む事なく突撃を敢行した。


 クロトも続くしかない。

 行くぞ、邪魔な魔物共めと思う彼は。



「らああぁぁぁぁ~~~~!!!?」


 誰よりも前に出て、魔物を狩り尽くしてやる。

 走って、走って、走り回って切り刻む。

 それで、魔物は全て殲滅だ。

 

 と、クロトは無茶するが。


 そんな彼の前に新手が現れた。

 

 

「ケッ! 次はブラッド・ラビットかよ?」

 

 クロトの前に、深紅に染まった毛並みのウサギ型の魔物が立ちはだかる。

 

 悪魔のようなピンク色の瞳より、紅い毛を逆立て、口を開いたブラッド・ラビット。

 コイツは、ナイフよりも鋭利な牙、剣より長い爪を、クロトに向ける。



「相手してやんよっ! 掛かってこいやっ!」


 ブラッド・ラビットと真っ向から対峙する、クロト。

 堂々とした態度の彼に対して、奴は高く飛び上がった。


 ブラッド・ラビットは体重を掛けた、鋭い爪による一撃を繰り出す気だ。


 

(・・・上から来るのか? だったら・・・)

 

 両手で、オオタチを力強く握りしめると、クロトは真上に刃の切っ先を向ける。


 

「ギィヤーーーー!!」

 

「よっ?」

 

『キンッ!』

 

 鋭い長爪、銀色に光る刀身。

 この二つが、ぶつかる。

 

 そして、弾かれた大太刀オオタチの刃は、再度上を向き、ブラッド・ラビットの腹を貫いた。

 


「ふ・・・俺には貴様の攻撃は通用しないぜ?」


 攻撃方法を見切り、敵の不意を突いた、クロト。


 ブラッド・ラビットに難なく勝利した彼は、次なる獲物を探す。


 そうして、彼はキョロキョロと辺りを見渡すが。

 

 

(・・・んん? 魔物はどうやら丘の方から来るな・・・あっちを制圧すれば戦いが楽になるな・・・)


 俺が突っ込めば問題は解決する。

 先ずは、デカ物を含む魔物の第二波から倒す。

 それから、丘の上に単騎で突撃だ。

 と、クロトは先程と同じく無知を考える。


 第二波の魔物の群れの前列。


 リザードマンとオークの槍隊だ。

 後ろは、ハイオーク。

 更に後列に、トロールとロック・ゴーレム。

 

 その他にも、様々な魔物が混じる。

 


「ガギガガッ!」


 その中の一種、リザードマンが槍を構えた。



「殺るなら殺ってやるっ!」


(・・・異世界から転移してきた勇者である母と伝説の賢者である父親っ! その最強夫婦の一人息子《サラブレッド》である俺に敵うと思うな・・・さあ? お前たち? 殺ろうか・・・)


 臨戦態勢を取る敵に対して、クロトも気を引き締めた。

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