【~~最強のアンデッドと化した元英雄~~】 暗黒騎士《魔王》として女聖騎士(勇者)と対決・・・するはずが・・・? えっ! 悪堕ちっ!? (;´゜д゜`)❗❕

ノートリンデン防衛戦
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

ピンチ、ピンチ、ピンチだっ!

公開日時: 2020年9月15日(火) 19:48
更新日時: 2021年11月5日(金) 10:22
文字数:3,246

「あっ! 喰らええっ!」


「うわっ!! 危なっ!!」


(・・・女騎士による俺の首を狙った斬撃だっ! このくらい、後ろに下がれば・・・)


 クロトは軽く攻撃を回避する。



「なっ!?」


 まさか、回避するとは思わなかっただろう。

 あの顔は絶対にそう思ってるな。


 と、彼は女騎士見て推測する。



(・・・さぁ今だっ! 逃げ出し・・・)


 また前から、だけでなく左右からも。

 左からは、メイスが。

 右からは、杖が。


 と言う具合に、クロトには若い男性騎士と女僧侶らしき、二人からの攻撃が迫る。



「おわっ! よっ! くぅっ!」


 前から繰り出された斜め斬り・・・これは後ろに。

 メイスの打撃には拳の打撃で。

 長い杖に着火された、炎は振り払えば。


 と、クロトは軽く攻撃を避ける。



(・・・やっぱ凄いな? この鎧? 高級品なだけはある・・・物理攻撃は勿論? 魔法攻撃まで敢然防御してしまうとは・・・)


 当たった炎を、気にするクロトだが、黒い鎧は焦げ後すら無かった。



「邪魔をしないでくれっ!」


 オオタチでやる。

 命までは取らないが。


 若い男。

 髪の長い女。

 最後は女騎士。

 

 三人纏めて叩くっと、クロトは飛び出す。



『バンッ! ガッ! ドガッ!!』


「うっ!!」


「ぐわっ!」


「くぅぅぅ」


 武器を叩いてやったが。

 メイスを両手で握っていた男は壁に。

 杖を握っていた女は地面に。

 女騎士だけが何とか耐えたようだ。


 こいつ等と遊んでいる暇はない。

 人間の命は取りたくないしな。


 そう、クロトは思うが。


 しかし、そこに女騎士の波刃長剣フランベルジュの光る切っ先が迫る。



「もう行かせて貰うっ!」


「あっ! 行かせはしないぞっ!!」


『バチッ!』


 邪魔をするか、ならば、その突きだした剣の波打つ刃、回避するまでだ。

 か~~らの右手で押し倒しをーーやべ、掴まれた。


 不意打ちを仕掛け、敵を怯ませようとした、クロトはドジッてしまった。



(・・・不味いっ!? このままでは女騎士の仲間からフルボッコにされてしまう・・・)


『ドンッ!』


 しまったーー。

 女騎士に掴まれて、一緒に倒れてしまったか。


 アレ・・・れれれ・・・。


 等と思い、焦りまくる、クロト。



『カランカランッ! コテンッ!』


「あり? あ・・・」


(・・・ヘルメットがーー今の衝撃で何処かに? アソコかっ!? つうか? この状況は不味いっ! 女騎士の顔が近いっ! よくよく見れば中々の美人だし・・・と考える前に、早く退かなければ・・・)


 そう、クロトが考えている間に、周りの騎士達は。



「隊長から離れろっ! アンデッドめっ!」


「うわっ! 止めろっ!! 危ねえだろがっ!?」


 女騎士に馬乗りに成っている絵面は、そら不味いだろうな。


 俺の顔面を目掛けて、蹴りが繰り出されたぜ。

 即座に離れて回避だ。

 右に転がって見れば、後ろに居た大柄な奴だな。

 奴は女騎士を助ける積もりだったのか。


 仲間思いだな、感心するぜ。


 クロトは騎士達の仲間を救おうとする精神に感心した。



「ここから先には行かせんっ! お前は包囲されている、観念して成仏するんだな」


 戦斧バトルアックスを担いで、俺を睨まれてもな。

 奴は殺る気満々だ、殺気が伝わって来る。


 大柄な騎士に対して、クロトは睨み返すが。



(・・・ん? 周りの奴等も包囲してきたか・・・)


 見れば、後ろに若い若い男。

 僧侶みたいな女、と言うより僧侶か。

 そして、女騎士も立ち上がったか。

 不味いなーー。

 四対一、数は圧倒的に不利。


 冷静に状況を分析する、クロト。



(・・・ならば? 突破するのみっ!! ・・・)


「退けぇーーーー!!」


「逃がさんぞっ!」


 真っ向から斬りかかる、クロト。

 対する相手の大柄な騎士は、戦斧《せんぷ》バトルアックスを振り回す。



(・・・勿論だが俺それをオオタチで受け止め・・・る筈がないっ! 姿勢を低くしてしまえば・・・)


「なっ! コイツ、下をすり抜けやがったっ!?」


 振り回された、戦斧バトルアックスの刃。

 そんな物、頭を下げつつ左側を通ってしまえば、どうと言う事はない。

 次いでに転がった兜も回収してと・・・。


 クロトは、素早く行動しながら次なる一手を考える。



「まっ! 待てぇーーーー!?」


「逃がすかぁ~~~~!!!!」


 大柄な男と女騎士が、後ろから走ってくる。


 追いかけて来ようが、俺が止まる事はない。

 外を目指して脱兎の如く逃げるだけだぜ。


 そう考える、クロトはひたすら洞窟内を走り、同じような作りの部屋に出た。


 左右を見ても行き止まりなので、また走るしかない。

 前方の大穴にだ。

 それから、またかなり長い洞窟を彼は走る。



「まあ~~てぇ~~!!」


 女騎士が追ってきているな。

 他の三人の部下もだ。

 喧《やかま》しい奴等だぜ。


 クロトは、騎士達を五月蝿く思う。



「まてーーーー!」


「コラーーーー!?」


「逃がすかっ!」


 大柄な男。

 女僧侶。

 若い男。


 彼等は、後ろから遠距離攻撃をしてきた。



『ダダダダダッ!』

 

 背後を見ては居ないが、五月蝿い爆発音と共に何かが飛んでくる。

 それが、前方の岩壁に何かが当たって、カンカンと音が鳴っている。

 その中には、何発もの火炎魔法の火の玉も混じる。


 ボッボと壁と俺の背中に当たっているからな。

 飛び散る、真っ赤な火の玉と何かは無視だ。

 何故なら、明るい光が前に見えたからだ。


 と、クロトの前方に出口のような物が見えた。



「なんだ? 突入チームが・・・」


「邪魔だっ! 邪魔だっつーーのっ!」


 陽光を受けて、明るい金髪を更に輝かせた優男風イケメンが現れた。

 洞窟の入り口を左脇から覗く奴を、俺は押し退ける。



「ぐわっ!」


「わあっ? 何だっ!」


「アンデッド騎士だっ!」


 金髪イケメン騎士をどついて吹き飛ばすと。

 転んだ奴を助けるべく、数人の騎士達も動く。

 槍や何かを構えた連中の合間を、クロトは気にさず走り抜ける。



(・・・ここは山間部っ! あっちは・・・)


 走って、走って、斜面を目指す。


 斜面に来たら、まともに降りないで近道だ。

 何度も何度も一直線に飛び降りる。

 こうすれば、奴等を巻ける。


 後は・・・ひたすら草原を駆け抜けるだけだ。


 クロトは、必死で逃げる、逃げる、逃げまくる。



「はぁ~~息切れはしないな? アンデッド化したからか?」


 息切れはしないが、ため息は出る。

 ここまでは、奴等も追っては来られまい。

 記憶が正しければ、この辺りに隕石が落下したような。


 過去を思いだす、クロト。



「おっ? 町だ・・・大きいな?」

 

 記憶を探る彼の前に、円形に作られた大きな町が現れた。


 都市と言える程ではないが、アレは結構な規模だ。

 さて、何処から入ろうか。

 いや、俺はアンデッドだし。

 入ろうにも、正体がバレたら・・・。


 先ず、絶対に処刑される。

 あの騎士団も、その手のプロ集団に違いない。


 アレコレ、考えて悩むクロト。



「まあ、先ずは行ってから考えよう」


 考えても仕方がない。

 裏口のような物も有るだろう。

 それを発見すれば、中に潜入する事も可能な筈だ。


 また走ろう。

 この肉体はもう疲れを感じないしな。

 クロトは、取り合えず行動する事にした。



 アレから走ったが、直ぐに町には着いた。

 しかし、似てるな。

 ノートリンデンに。

 赤とオレンジの屋根か。

 そこも似てるぜ。


 町は高い外壁に囲まれているが、入る方法は・・・ない。

 壁上には、巡回する警備兵がいる。

 遠目に見てみれば、これは無理だと判断せざる負えない。


 町に行くのは止めよう。

 迂回して何処か別の場所に向かおう。


 クロトは町を見て考える。



 これから先、何処に行くか。

 ノートリンデンは・・・今来た道を戻る事になる。

 そしたら、騎士団《やつら》と再会してしまう。


 ここは何処か知らんが、南東に行けばヘルトハイムだ。

 小さな町だが、まだ在るかな。


 何か、この町は見た事がないしな。

 ひょっとして、俺が死んでから大分時間が立ったのか。

 まあ、いいや。

 早く、ヘルトハイムに急ごう。


 クロトは、またも次なる町を目指して走る事にした。


 また、走って行けば着くだろう。

 あーー変身とかできればな~~。

 そうすれば、アンデッドじゃなくて、人間に見えるのだろうけど。


 そんなこんなを考えている暇があるんだったら。

 走って、ヘルトハイムに行かないとな。


 クロトは頭の中でグジグジと考えまくりながらも。

 遠く、ヘルトハイムを目指して走り続けたのであった。

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