クロトと対峙する、槍を構えた、一匹の戦士らしき、リザードマン。
「ガギキィッ!」
リザードマンから、槍が繰り出された。
だが、クロトには長い刀身を持つオオタチがある。
それで、奴の穂先を叩いて、素早く軌道を剃らす。
それで、隙の出来た、リザードマンの顔を目掛け。
「コイツを喰らえっ!」
クロトは、片手剣カッツバルゲルの刃を突き立てた。
「ガギ? ガァ・・・」
(・・・これで終わりだ? いや次の奴が来たか・・・)
白眼を向いて、前のめりに倒れる、リザードマン。
「グギッ!」
オークの槍が横から来たが、片手剣カッツバルゲルの刃で、クロトはそれを受け止める。
次いで、右手のオオタチで、奴の首を跳ねてやった。
と、思ったのも束の間。
「面倒な奴等だぜっ!」
鎧を着たハイオークが、上段から戦斧バルディッシュを力強く振るう。
クロトは、大太刀オオタチの刃でそれを受け止め。
片手剣カッツバルゲルの両刃を、奴の鎧の隙間に突き刺す。
「ガアァッ!?」
「死ね・・・お前だけに構ってはいられないんだ・・・」
クロトは、深々と突き刺した、片手剣カッツバルゲルを抜き取ると同時。
右手の長刀オオタチを力強く、ハイオークの顔を目掛けて振るう。
奴の首筋は見事に切り裂かれ、噴水の如く、血飛沫が飛び出る。
「退けよっ!」
クロトはくたばった奴を蹴り倒し、その背後に立つ巨漢を見上げる。
それは、こちらを見下ろしながら睨む、トロールだ。
丸太を削って作った棍棒を振り下ろさんと、奴は己の両手を頭上に掲げる。
(・・・本来なら対大型魔物用のツヴァイヘンダーに持ち変えたいところだが・・・)
トロールが棍棒を上げた瞬間は無防備だ。
そこを背中から狙えば、勝てる。
そう考えた、クロトは瞬時に大太刀オオタチで縦に上から下に切り裂く。
「グアアアアァァッ!」
(・・・凄まじい咆哮だな? そんなに痛いのか? だがっ!! まだまだ行かせて貰うぜ・・・)
トロールに追い討ちを仕掛けるべく、クロトは次なる技を繰り出す。
「喰らえっ!」
(・・・風速斬・・・)
クロトは、大太刀オオタチ&片手剣カッツバルゲルを交互に力強く振るう。
それで、目の前に立つ巨大怪物トロールの背中に回り込む。
次いで、二つの剣を振るい、滅茶苦茶に切り刻む。
右手に握る、大太刀オオタチ。
左手に握る、片手剣カッツバルゲル。
竜巻のように回転し続ける、クロトの連続斬撃は肉を削ぎまくる。
一旦、その攻撃を止めると。
今度は、柱のように太い右足を狙って、オオタチで切り裂く。
「ガァァアァッ!?」
(・・・地面に倒れたか? 悪いがこれも仕事なんでな・・・後は放って置いても誰かが止めを刺すだろう・・・)
おっと、また後ろから新手が来たか。
と思い、クロトは背後に振り向く。
『ドンッ! ドンッ!』
「ロック・ゴーレムか、足音の五月蝿い奴だ」
こいつは流石に持ち変えないと不味いな。
オオタチ、カッツバルゲルの血糊を払って。
と、クロトは考え、大岩人形ロック・ゴーレムに向き直る。
「お前も足だけ斬らせて貰う」
先ずは右側から、次は左側を。
大剣ツヴァイヘンダーの刃で。
と、クロトは攻撃に移る。
『ドスンッ!!!!』
「ケホッ! ケホッ! 凄い土煙りだぜ」
よし、地面に倒れたな。
コイツ等は、他の連中に任せて、俺は丘へダッシュだ。
そう考える、クロトは倒れたロック・ゴーレムを放置して、また突っ走る。
次に、彼は後ろに気を配り、後方を確認する。
(・・・ゴーレム型や巨人系の敵が目立つな? しかし魔法使いの支援攻撃は激しいし? 冒険者や傭兵も善戦しているようだ・・・)
まだまだ、大型の敵は居るが、魔法使い達の支援が効いているようだ。
見れば、爆発や氷塊が奴等を足止めしてくれている。
更に、重戦士の打撃武器での攻撃も有効なようだ。
「だったら、俺は・・・一人、丘へ突っ切るぜっ!」
クロトは、またも一人だけで突っ走る。
『ドサッ!』
「うわっ!」
急に現れた新たな敵、クラゲ・キノコ。
名前の通り、海を漂うクラゲのように宙を舞う、薄茶色いキノコだ。
傘の周りから脚のように複数の触手を垂らして進む姿は、とても不気味である。
しかし、それでもクロトは大太刀オオタチの切っ先を向け、一気に突っ込む。
「くたばれっ! キノコだか、クラゲだか分からん魔物野郎っ!!」
「・・・?」
いきなり、突撃してきたクロトの行動に、クラゲ・キノコは対応できなかった。
クロトが上段から振るった、大太刀オオタチの一撃により、キノコ・クラゲの傘は潰れる。
そして、そのまま斬られてしまい、奴は真っ二つにされてしまった。
「胞子に、毒とかは無いようだな?」
クラゲ・キノコを倒した、クロト。
キノコ型モンスター。
カビ型モンスター。
これ等には、毒の胞子をバラ撒くようなタイプも存在する。
だから、クロトは倒した時に、クラゲ・キノコが毒胞子を噴出すると判断していた。
なので、毒胞子・対策に風を纏うように、彼は大太刀オオタチを振り下ろしたのだが。
その一撃を受けた、クラゲ・キノコは予想より弱く、アッサリと倒されてしまった。
しかも、毒胞子を噴出せずにだ。
こうして、戦いを終えたクロトは次なる敵を探して走る。
「クェェェェッ!」
「はっ! グリーンドラゴンか?」
突然、クロトの上空から急降下による奇襲攻撃を仕掛けてきた、グリーンドラゴン。
(・・・空から厄介な敵が来たか? ならばば・・・このまま追われて逃げる振りをしながら・・・)
そう思う、クロトはひたすら走り。
「キュエエエェェェェッ!?」
「やったか?」
(・・・急降下してきたのが仇になったな・・・どうだった? 俺のツヴァイヘンダーの一撃を顔に直撃させられた感想は? ・・・悪いが? お前にも構っていられないんだよっ! 俺はまた前を向いて行くのみだ・・・)
不意打ちを仕掛けた、クロトの策は成功し、グリーンドラゴンを一撃で仕留めた。
「大分、戦場から離れたな? 第三波が見えるな・・・あれで最後だと良いが・・・」
丘の麓まで来たが、凄い数だな。
まるで、魔王軍が進軍するようだ。
そう、クロトには思えた。
大群の数は凄まじく、丘の向こう側から続々と、様々な魔物がやって来る。
アンデッド。
ビースト。
インセクト。
デミ・ヒューマン。
バード。
さっきよりも、どうやら魔物の数と種類は増えているようだ。
「たくっ! 何なんだよ、この数はっ!」
愚痴を溢すが、クロトは何時までもボーーと立ってはいられない。
(・・・ツヴァイヘンダーで皆殺しにしなければっ! 丘を越えてきたばかりで悪いが、早速お前等は死んでくれ・・・)
クロトは、そう思って駆け出す。
「うおおぉぉぉぉっ!!」
クロトは真っ直ぐ丘へと掛ける。
行くてには、蟻人間が立ちはだかる。
その胴を横から絶ちきり、次へと向かう。
次の獲物は、ホブゴブリンだ。
剣を振るうまでもない。
奴は、足で腹を蹴りあげれば良い。
「あ?」
周りを囲まれ始めた、クロト。
これは厄介な状況だ。
黒い甲虫剣士。
紫色のポイズン・スライム。
赤茶色のキラータイガー。
灰色のミニ・ストーン・ゴーレム。
水色のナイフ・バード。
黄色の暴れ毛長猿。
「包囲したからって・・・」
しかし、このくらい。
クロトが、大剣ツヴァイヘンダーを、時計回りに振るえば一撃で終わる。
「良い気になるなよ・・・」
「グギャアアアアッ!!」
「ギャアアーーーー!?」
そして、弱い敵を確実に仕留められる。
(・・・よし? 殲滅だ・・・)
今の勝負は勝ったが、まだクロトを目指して、沢山の魔物による軍勢がやって来る。
故に、彼は休む間もなく、魔物達を相手にした戦闘を繰り広げるのであった。
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