【~~最強のアンデッドと化した元英雄~~】 暗黒騎士《魔王》として女聖騎士(勇者)と対決・・・するはずが・・・? えっ! 悪堕ちっ!? (;´゜д゜`)❗❕

ノートリンデン防衛戦
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

シュメーゲンへと ポリーヌ視点

公開日時: 2021年3月27日(土) 19:06
更新日時: 2021年11月5日(金) 16:48
文字数:2,833


 偵察隊は、シュメーゲンに向かう


 前方からの爽やかな風を受けつつ走る私と仲間達。

 偵察隊は、颯爽と草原を進む。

 目標に向かって。

 前から顔を横切る風は涼しい~~。


 見渡す限り、平らな土地に緑の草が広がる。

 空は快晴で、白い雲と水色が広がる。

 ここは平和その物だ。



(・・・シュメーゲンへ行かねば・・・)


 ここから更に東の町シュメーゲン。

 あそこには魔皇軍が出没した。

 

 早く行かねば、シュメーゲンはアンデッドの拠点と化すだろう。


 住民の避難は済んでいるだろうか?。

 そうであって欲しい・・・。


 いや、暗い予想は止めよう。

 クロトの様子はどうかな?。


 後ろを見れば。

 小型装甲車フォードFTーBのハッチが開いた。

 あ、こっちを向くわ。

 顔を剃らさないと。


 はぁ~~顔を剃らすのが、何とか間に合ったわ。

 あのままだと見つめ合う形に♥。

 いかん、いかん・・・任務に集中しなければ。

 

 太鹿《ファット・ディアー》の群れが居るわ。

 草食性の野生動物ね。

 彼等が居ると言う事は、周囲に敵。


 一つだけ居たわね、私達が。

 あーー逃げ出しちゃったわ。


 可愛い姿だけど仕方無いわね。

 彼等に取って、私達は驚異だ。

 だから逃げるのは当たり前な訳よね・・・。


 普通の草食動物は、敵を見たら直ぐに逃げるわ。

 それは私達人間も同じ。


 私達を襲うのは魔皇軍だ。

 彼等は人を襲うアンデッドの組織、いや国家だ。


 黒い鉄兜シュタール・ヘルム。

 黒い軍服。

 ゾンビやスケルトンの兵士達。

 

 短機関銃、軽機関銃、手榴弾で武装した彼等は人間に取って驚異だ。

 今から遡って五年前・・・あの時の戦いは苛烈だった。


 激しい砲撃の後、塹壕の中に侵入したアンデッド兵達。

 暗黒騎士と黒騎士達に率いられた彼等は、戦線を崩して快進撃を続けた。



  ポリーヌは過去を回想する。



 ゾンビ兵の短機関銃ベルグマン。

 スケルトン兵の軽機関銃マドセン。

 塹壕鎧ロブスターアーマーを着た、リッチ兵の手榴弾。

 ヴァンパイア兵の抱える大型軽機関銃シュパンダウ。

 グール兵の権杖ジェズルの魔法攻撃。

 

 大剣を構えた暗黒騎士。

 彼等が率いる、槍を構えた黒騎士達。

 その後ろに続く、多数の突撃隊シュトース・トゥルッペンの兵士達。


 塹壕線の防備の薄い部分を突っついた連中は、塹壕内で銃撃を繰り広げた。

 お陰で、聖光騎士団は成す術なく敗退して、数十キロも後退した。


 当時の精鋭、白金騎士が率いる聖騎士隊も、暗黒騎士を前にして全滅だ。

 敵部隊はまるで、回転する嵐の波だった・・・当時の生き残りの騎士の言葉だ。


 あれ等は、途切れぬ金切り音と、爆発音を塹壕内に轟かせた。

 私達の隊は、運よく端の方に居たから大した被害は受けなかった。

 だけど、最前線の主力部隊は全滅。

 その左右の陣に展開していた部隊も同じく、八割と言う壊滅的な被害を出した。


 あの場所に居た先輩型や仲間も。

 グルシュニク先輩、フレート、ユッテ・・・皆、皆も・・・。


 止めよう、過去は流れる清流の如く流れ去ったんだ。

 流れる綺麗な水流の如く、何もかもね。


 んん・・・シュメーゲンが見えてきたわね。

 でも、あの様子は。


 シュメーゲンの町は燃え上がっている。

 オレンジ色の三角屋根、三階立ての家が燃えている。

 建物も所々崩れてもいる。

 これはヤバイな・・・・・・。


 ポリーヌは回想に浸っていたが、町の余りの参上に現実に引き戻された。



『パパパパパパパパッ!』


「各部隊、散開しろっ! 我々は正面から行くっ! ルキヤンの隊は左から行けっ! テルセロの隊は右からだっ!」


 銃撃音だと、これは・・・。

 魔皇軍の仕業だわ。

 町の人は無事だろうか。

 自警団員が誘導していると良いけど。


 町の手前だ。

 そろそろ、機械馬アイアン・ホースから降りねば。

 拳銃ルビーを、一挺だけ抜き取って。


 武器を手に、ポリーヌは戦場へと走って行く。



「イーサン、援護を頼むぞ」


「了解です、隊長」


 町の入り口から入って見たが、敵は居ない。

 ここは十字路だ。


 道路の石畳は、ボロボロで地面が見える。

 右手の建物は半壊して、部屋の中が見える。

 左手の建物は外壁は無事だが、屋根からは炎と煙が上がる。

 道路奥の真ん中には、車輪が四つ壊れた幌馬車の座席が此方を向いている。


 さて、町内に潜入したのは良いものの、敵は何処だ。


 ポリーヌは、左右上下に視線を動かしては、怪しそうな場所に目を向ける。



「今だっ! 放てっ! 撃て撃て~~~~!!」


「なっ! 罠だったかっ? 皆早く隠れるんだっ!!」


「きゃあっ!」


「敵かっ!!」


 幌馬車に素早く飛び込まねば。

 よし、パトリスは私の右に。

 エリックはーー建物左側のドア陰に隠れたか。

 イーサンは右側の建物一階、その窓から大型軽機関銃ルイスガンを撃っているな。


 待ち伏せされていたか。

 他の隊は無事か・・・いや、今は自分達の事が先か。


 敵の待ち伏せを受けて、咄嗟に身を隠した、ポリーヌ達。



『ドドドドドドッ!』


『ビュビュビュッ!』


 左手の半壊した建物の二階から機関銃の激しい制圧射撃。

 残った壁の残骸から、ゾンビ兵が撃ってくる。


 右手の建物の窓からは、魔術兵の権杖《ジェズル》による魔法射撃で紫色の光玉が飛んでくる。


 あの太い銃身を左右に動かしている。

 それに細長い杖ーー間違いないない。

 あの二つは、大型機関銃シュパンダウ15と権杖ジェズルだ。

 

 その他にも、前方から、小銃マウザーの弾や短機関銃ベルグマンの弾が次々と放たれる。


 建物の窓や陰から、ゾンビ兵が撃って来たか。

 奴等にも、注意を向けねば。


 ポリーヌは敵を観察して、武器や位置を把握した。



『パンッ!』


「ぐぅっ! 敵の攻撃が激しいなっ!」


 この馬車も、そんなに持たないだろう。

 こんな遮蔽物じゃ、直ぐボロボロに吹き飛んでしまうし。


 ポリーヌの考える通り、激しい攻撃を浴びた馬車は次々と木片を飛ばして壊れてゆく。



『ビンッ! ビンッ! ビンッ!』


 顔と右手だけを出して、私は反撃するのだが、大した効果は無いだろう。

 その予想通り、左手の建物二階の敵は制圧射撃を止める気配はない。

 やはり、こんな拳銃じゃ敵の勢いを押し返せないか。


 敵の銃火に圧倒される、ポリーヌ。



「これなら」


『ボボボボッ』


 パトリスが牧杖バクルスを振って、火炎魔法による火球を放つ。

 この攻撃は効果があったようで、少しは魔法攻撃を行っていた魔術兵を止めた。


 だが、パトリスが身を隠すと再び魔法攻撃を始めた。

 紫色の光は低威力の暗黒魔法だろう。

 アレが当たれば大怪我どころの話ではない。

 まだまだ馬車は持つだろうか。

 ボロボロになる前に脱出しないと。


 エリックは・・・よし、上手くすり抜けられたな。

 彼は建物の中を進んでいるようーー。


 パトリスから、エリックに視線を移す、ポリーヌだったが。



『パンッ!』


 しまった、エリックと敵が鉢合わせしたか。

 

 銃声に焦る、ポリーヌ。



「敵だっ!」


「死ねっ!」


 敵とエリックの声だけが聞こえる。

 銃声はなし。

 白兵戦になったか。

 く・・・ここからじゃ建物の中は分からないな。


 エリック、無事でいてくれ。


 安否が分からぬ部下を心配する、ポリーヌ。



「どうすれば?」


 額から汗が滲む。

 魔法を使うか。

 それしか、手はない。


 ポリーヌは内心焦りつつ、対抗手段を考えた。

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