【~~最強のアンデッドと化した元英雄~~】 暗黒騎士《魔王》として女聖騎士(勇者)と対決・・・するはずが・・・? えっ! 悪堕ちっ!? (;´゜д゜`)❗❕

ノートリンデン防衛戦
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

戻って来た市民たち

公開日時: 2021年4月3日(土) 18:56
更新日時: 2021年11月5日(金) 17:28
文字数:3,176

「遠くから来たな、何処に隠れて居たのやら」


「馬車が来ますね?」


 何人居るか分からない人数だ。

 まるで、蟻の行列みたいだな、ルアン。


 等と、クロトは考えながら、ルアンと一緒に難民の列を眺める。



(・・・ん? 馬車だと? おお~~よく見れば一番前にいるな・・・列から離れて? 一台の馬車が来るだと・・・乗っているのは・・・)



「ありゃ? あれ、教会の上に居た二人だ」


「教会の上の冒険者ですよね?」


 木製の幌なし、ワゴン馬車。

 それに乗るのは、御者役のシノブと助手席のリーヌス達だ。


 クロトとルアン達は、段々近づいてくるワゴン馬車に目を向ける。



「あの二人、こっちに来るな」


 馬車を見ながら呟いたが、別に変なところは無い、奴等が来るだけだ。


 と、クロトは思ったが。



『今から、そっちに行くからね』


「!?」


『・・・これは捻話だ、驚いた顔をするな、貴様もアンデッドだろう? ならば我等と意志疎通ができる筈だ』


 驚いた。

 シノブの声が聞こえたと思ったら、今度はリーヌスの声がした。


 念話《テレパシー》に驚く、クロト。



『・・・どう、捻話はできる?』


(・・・出来るかと言われても? やって見るか? ・・・)


 シノブからの念話で話し掛けられた、クロト。



『こうか? どうだ、話せているか?』


『やはり貴様はアンデッドだったか・・・』


『貴方ね、何者なの? 私等は暗黒騎士の中身だけど・・・』


 何者だと、それは俺の台詞だぜ。

 お前らこそ、何者だ。


 クロトが念話で話せると分かると、シノブとリーヌス達は彼を不思議がる。



『俺はクロト・・・今現在は偶然手に入れた暗黒騎士の鎧を着ていたせいで、魔皇軍の容疑を掛けられている』


『・・・クロト? 千年前の英雄にし因んだ名前ね、それより何処で暗黒騎士の鎧を入手したの』


『・・・シノブ、話は後にしよう、隣の奴に怪しまれては面倒だからな・・・今晩、教会の裏で落ち合おう』


 千年前の英雄かーーまあ本人だけどな。

 これは言っても信じてくれないだろうな。

 リッターの言う通り、ルアンにバレたら面倒なのは確かだ。


 クロトの正体を知って、シノブとリーヌス達が驚くのは無理もない。

 いきなり、千年前の英雄と言われて信じる人は居ないだろうからだ。



『リーヌス、あんたの意見に賛同する・・・シノブ、話は後でな・・・』


 ルアンの方はーーワゴン馬車を見ているな。

 しかし、この捻話ってのは便利だな。

 こうして、離れていても口を動かさずに会話ができるんだからな。


 と、思うクロト。



「お前ら・・・後で話をしようか?」


「ああ、あの時の方ですね? 良いですよ」


 こうして、言っておけば後で怪しまれないな。

 ルアンも変に思わないだろう。


 クロトは、シノブと会話した。



「知り合いですか?」


「あーー? 見たいな物かな・・・」


 ルアンは不思議そうな顔をするが、まあ~~知り合いと言えば、知り合いだろう。

 連中の事を、名前と顔は覚えている訳だしな。


 と言って、ルアンの前でクロトは上手く二人との関係を誤魔化した。



 数時間後。



 あれから、大分立ったな。

 辺りは、すっかり暗くなって街灯の灯りが黄色く光る時間だ。

 教会の前で集まり、整列する俺等を淡い光りが照らしてくれる。


 今は夕方を過ぎたので、クロトは街の暗くなった様子をボンヤリと眺める。



「今夜は広場で夜営だ、皆はテントで寝てもらう」


 ポリーヌは全員の前で、キリッとした顔をしてるな。

 はぁ~~テントかぁ、野宿よりはマシだぜ。


 整列しながら、ボケっと思うクロト。



「明日は、ハイハルムハイムに向かう、では解散だっ!」


 ポリーヌは解散を告げたか。

 じゃあ自由時間だ・・・とは行かないよな。

 また監視付きだろうな。

 俺の監視に誰を付けるのやら。


 解散した後も、気を抜けないクロト。



「はぁ~~」


「何を疲れた顔をしているんだ、若僧?」

 

 あん、誰だ。

 って・・・長い黒髪、浅黒肌の巨漢。

 お前は、イーサンだったな。


 後ろを向いた、クロトの前には巨漢が立つ。



「お前に用があるって、あの冒険者の二人組が来てるらしい? 会うのは良いが、お前には監視が付くそうだ」


「イーサン、あんたが付くのか?」


 やっぱり信用がないのか。

 そりゃあーー監視を付けるわな。

 誰かとの面会も条件付きか。

 面会制限されるよりはマシだけどよ。


 クロトは、今から監視されるのを仕方なしと思った。



「いんや、俺は今から保哨に立つ・・・お前の監視に着くのは隊長だ」


「はぁっ?」


(・・・えぇっ? 隊長《ポリーヌ》の直々・・・)


 イーサンから話を聞いて、何のためにと、クロトは驚いたが。



「隊長が今は忙しいから、後で一緒に行くなら話をしていいんだと?」


「何だよ、それ?」


 つまり勝手に行動するなと言う事か。

 面倒だなと思うが、今は従うしかない。

 仕方がない、仕事とやらが終わるまで、ポリーヌを待つか。


 イーサンの話に、クロトは不満がるが、それに頼る以外の手段はない。



「隊長は一時間後に教会の裏手で二人と待ち合わせだとよ・・・クロト、お前はここで待ってろよ? じゃあな」


「分かったぜ、イーサン、じゃあな」


(・・・はぁ~~? 一人だけで教会の前で待機かーー? 俺は正式な騎士団員じゃないのにな? 何の罰だよトホホ・・・)


 イーサンと別れた、クロトは落胆する。



(・・・まあ実際は誰かが監視がつくのだろうが? しかし隊長が来るまで誰が監視につくんだ? って・・・監視役は隠れて俺を見ているんだろうな・・・まあ良いけどよ・・・)


 ポリーヌ率いる偵察隊の思惑を、クロトは感じ取る。



(・・・いっその事ここから脱走しようかな? 何てなーー? そんな事をしようものなら・・・これからの行動に支障を来す・・・この世界を調べ・・・何故俺が蘇ったのかをさぐる旅にな・・・)


 クロトは冷静に思案に耽る。



(・・・それに・・・今夜あの二人から色々と話を聞けるっ! だから自分から危険にワザワザ飛び込む必要はない・・・)


 と、思至るクロト。



『ブロロロロ』


『ブロロ』


『ブロロロ』


(・・・ん? ルータか・・・二台? いや三台? 小型総装甲車フォードFTーBだっけ? 石畳の上を横一列に並んで走って行ったぜ・・・しっかし便利なもんだよなっ! 馬が引かなくても走る車なんてな・・・千年か? それだけ時が立ったのか・・・)


 車列の通る様を眺めつつ、クロトは考える。

 千年もの時が、一気に過ぎてしまった彼は一人ぼっちだ。



(・・・寂しいな~~俺一人だけ千年前の人間だもんな・・・世代差が有りすぎだろっ! ・・・)


「はぁ~~」


 たった一人、生き残ったクロトは悲しみに暮れる。



(・・・不意に空を見上げりゃ? 星が煌めいているな・・・)


 上を向く、クロト。



(・・・まあ今日一日だけで色々な出来事に巻き込まれたからなっ! ふぃ~~~~? 騎士団に魔皇軍か・・・月《あそこ》まで逃げれば騎士団も追ってこられないかな? もし逃げれば月まで騎士団は来るか?  ポリーヌ達も追っかけて・・・来れるどころか? まず俺も月にはいけないよな・・・)


 月を見た、クロトはじーーと考える。

 立ち止まったまま、彼は黄色い光を見つめた。



(・・・まぁーーもし月に行けたら俺はアンデッドだからな? あの暗い宇宙でも平気だろう? てかっ! お袋に聞いた話では宇宙は人間が生きられない場所らしい? ・・・)


 クロトは、母マコトから聞いた話を思い出す。

 それは宇宙空間に関する事だ。



(・・・っと? その一・・・寒くて凍死? その二・・・空気がなくて窒息死? その三・・・と言うか最初に空気の圧が無くて破裂死っ! ・・・こんなんだもんな? ん? 待てよっ! アンデッドも宇宙じゃ破裂はするのかな? どうだろう・・・)


 素朴な疑問が頭に浮かぶ、クロト。

 アンデッドですら、宇宙では生活できない。

 そんな過酷な場所なのかと、思案する。



(・・・はぁ~~~~~~? 考えても仕方ねぇ? 何もする事ないけど・・・ポリーヌが来るまでは一人ボケーーとしているか・・・)


 が、結局は考えるのが面倒になったので、アレコレ考えるのを、クロトは止めてしまった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート