「ふんぬっ……!!」
マッパ野郎は食人植物の口をこじ開けると、無理やりエルフの少女を引きずり出した。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思いました……」
少女は真っ青な顔で息を荒くした。
「安心しろ。スキャンしたが、お前の生命活動は正常だ」
マッパは訳の分からんことを言ったが、少女はとりあえずわかったふりをした。
「そ、それはよかったです。あ、ありがとうございます」
少女はあいかわらず警戒している。まあ、そりゃそうだ。だって、全裸やぞ。
「じゃあ、私はこれで……」
そそくさと立ち去ろうとする少女をマッパ野郎が呼び止めた。
「待て。お前に用がある」
「な、なんですか。も、もしや私のパンツを……?」
「お前は何者だ?」
少女からすれば、お前こそ誰だよだった。
「わ、わたしはリリィです」
リリィは魔法使いのエルフだった。パーティを組んでいたのだが、役立たずすぎて森に捨てられ、あげくオークにR-18されるところだった。
「エルフ、パーティ……データベース検索」
マッパ野郎は猛スピードで頭を回転させた。スパコン並みのフル回転で、データベースを検索し、最適の答えをなんとなく導き出した。
「それは、いわゆるコスプレパーティのことか?」
「なんです? それは?」
リリィは首をかしげた。
ちょっと作者が書くのが面倒になってきたので、割愛するが、そのあとなんやかんや話をして、マッパ野郎が重度の記憶障害だとわかった。
「俺は何のために、ここに来たのだ? 何か重大な使命を帯びていたはずだが……バックアップファイルが壊れている。復元不可能。自己診断プログラムを起動。ネガティブ……ネットワークはオフライン。座標ロスト……」
切り株に腰を下ろし、考える人の姿勢でマッパは微動だにしなかった。肩甲骨がキレッキレだった。
「名前も思い出せないんですか」
恐る恐る、リリィは聞いた。どうやら全裸であることを除けば、悪い奴ではなさそうだと思い始めていた。というか、あまりにも堂々としすぎていて、全裸であることが些細に思えてきた。
「名前、名前は……」
マッパ野郎は渋い声で呟いた。
「ナン……」
「え……」
「コナンだ。DT-1000型サイボーグCONAN。それが俺の名前だ」
コナンは立ち上がると、大胸筋を震わせながらリリィへ向かってきた。
「な……なんです」
ダダン・ダン・ダダン♪
「そ、その音楽止めてください。なんか、すごい流血沙汰が起きそうな感じがします」
ダダン・ダン・ダダン♪
「すまない。ターミネートモードがオンになっていた……フンッ!!!」
コナンはポージングし、大胸筋を膨らませると元に戻した。
「これでオフになった」
「今のポーズ、必要なんですか」
「ああ、これでオンオフを切り替えている。リリィ、ここはどこだ? 植生を見る限り、欧州の近い形態だが」
「こ、ここはミザリー近くの森です」
「ミザリー……検索、ノーヒット。ミザリーとは何だ?」
「近くの街ですけど……」
「どこだ?」
リリィはとても嫌な予感がした。
「あ、あっちです」
「よし、案内しろ。情報が欲しい」
「ええっ……」
「嫌なのか」
コナンはポージングした。
ダダン・ダン・ダダン♪
「わ、わかりました。連れていきます!」
「いい返事だ」
コナンは笑顔を浮かべると、キラッと歯が光った。
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焼酎(小鹿黒)を飲みながら書きました。
この作品、たぶん、1話1000時くらいになると思います。
それ以上は酔いが回って、たぶん無理です。ごめんなさい。
(正気をなくした)弐進座
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