全裸でいく異世界道中ーサイボーグは、お堅いマッチョー

ある日♪森の中♪ヘンタイに出会った♪
弐進座
弐進座

第1話 ダダン・ダン・ダダン♪

公開日時: 2021年6月23日(水) 21:00
更新日時: 2021年6月23日(水) 22:32
文字数:1,987

【とある森の奥】


 いきなりビシビシッっと電気がはじける音がして、地面に穴が開くと、ど真ん中に真っ裸マッパの野郎がかがんでいた。


 そいつは陸上のクラウチングスタートみたいな姿勢で、バッキバキに仕上げられた身体。肌はテッカテカだった。


「………へ?」


 狐につままれたような顔で、エルフの少女が真っ裸の男を見ていた。少女の周りには、やっぱりほとんど全裸に近いに豚みたい、というか豚そのもの顔したオークが三…人(匹?)ぐらいいた。


 ぶっちゃけて言うと、少女は色んな意味でピンチだった。


 たった今、この少女はオークに襲われて、あと数秒で薄い本的な展開に突入するところだった。マッパの男が現れたのは、ちょうどR-18見せられないよマークが出る寸前のところだった。正直なところ、これを書いている作者もマジでこの先どうしようかと思っていたところだった。


 もうヤル気マンマンでビンビンなオークたちも、少女の視線つられて、マッパの男へ目を向けた。


「なんだ、こいつ?」


 オークAが言った。かき分けがめんどくさいし、こいつはAでいいだろう。


「いきなり出てきやがった。魔法か?」


 オークBが言った。こいつはBだ。


「なんだっていい。ちょうどハラがへっていたところだ。こいつをくいながら、このエルフにねーちゃんとたのしもうぜ」


 オークCが言った。こいつがリーダー格だ。


 オークたちをよそに、マッパの男がゆっくりと立ち上がった。


 品定めするようにオークたちを見て、その後で、やはりゆっくりと周囲を眺めた。


 男はこん棒を手にしたオークたちへ、やっぱりゆっくりと歩み寄った。


「な、なんだよ……」


 オークAが身じろぎした。人族のくせに、全裸のくせに、あまりにも、このマッパ野郎は落ち着きすぎていた。


「やっちまうぞ。オラァ!」


 オークAがガンを飛ばすと、マッパ野郎はただ一言。


「パンツを脱げ」


 と言った。見た目に似合った野太い、渋い声だ。具体的には、まるで玄〇哲章みたいな声だ。


「はあ?」


「俺は全裸だ。お前のパンツを寄こせ」


「なに、いってるんだ、おまえ……」


 オークAがこの場にいた全員のお気持ちを代弁した。その中には、襲われかけていたエルフの少女も含まれている。


 沈黙があたりを支配する中、ふと音楽が鳴りだした。


 ダダン・ダン・ダダン♪


「??????????????」


 オークたちが顔を見合わせた。


 ダダン・ダン・ダダン♪


「な、なんだ、この音は、き、きいたこともねえ」


 ダダン・ダン・ダダン♪


 ダダーー・ダー・ダー・ダー♪


 ダダーー・ダー・ダー・ダーダー♪


「こ、こいつだ。この男から音が聞こえやがる!」


 オークBが、マッパ野郎の胸を指した。大胸筋が動くたびに、リズミカルに音が鳴り、重低音の音楽が鳴り響いた。


「やべえ、なんだわからねえが、こいつはやべえやつだ!」


 オークCが石斧を思いきり、振り下ろした。


 鈍い音共に、音楽が止んだ。


「へへっ……どうだ、ざまあ」


 ダダン・ダン・ダダン♪


「ひっ……」


 マッパは無傷だった。大胸筋を震わせながら、微動だにせず、佇んでいる。


 恐怖に顔を歪ませるオークC。


 次の瞬間に、その巨体にマッパの拳がめり込み、ぶっ飛ばされた。


「べばぎゃあああああ」


 すごい叫び声を上げながら、オークCは数本の木をへし折ったところで、ようやく止まった。


「ろ、ロミオが……」


 オークAが声を震わせる。ちなみに、ロミオはオークCの名前だ。


「て、てめえ……!」


 オークBがこん棒を振り下ろし、オークAが続いた。


 バキリと乾いた音がして、こん棒が次々とへし折れる。


 マッパの男の身体はバッキバキに硬かった。鋼鉄のようだった。


「お、おまえ、ゴーレムか、なにか、メギャア!」


 オークAの顔に、マッパの拳がめり込み、森の奥へ吹っ飛んだ。


「ひ、ひぃいいいいい」


 オークBはついに逃げ出し、ついにマッパの男とエルフの少女が取り残された。


「おい、お前……」


 渋い声でマッパ野郎が話しかける。


「ひっ……」


 エルフの少女は乱れた服を取り繕いながら、後ずさった。無理もない。だって、マッパだもの。


「お前……」


 男は手を上げた。


 エルフの少女は涙目で立ち上がると、頭を下げた。


 オークもたいがいだが、そのオークをぶっ飛ばすマッパ野郎は少女の理解を越えていた。わからないものは怖い。


「ありがとうございます! ありがとうございます! もう、大丈夫ですから……!」


「待て……」


「見逃してください! さようなら……!」


 エルフの少女が駆け出した瞬間、視界が暗転した。


「きゃああああ」


 木の陰に潜む、食人植物に頭からぱっくりと行かれていた。


「……その先は危ない、と言おうとしたのだ……」


 ダダン・ダン・ダダン♪


 大胸筋が鳴り響く。


次回、「それは、いわゆるコスプレパーティのことか?(仮)」


◇-------------◇

すみません。酔った勢いで書きました。

後悔はしていません。

こっちの作品は不定期連載になります。

気が向いたら続けます。

(正気をなくした)弐進座



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