「どうして俺を助けてくれたんですか?」
椅子に座りながら勇太が問いかけると林太郎は魔法の杖を消し足首まで長い黒い服を出現させ勇太に差し出した。
「風邪をひくといけないから着なさい」
「ありがとうございます」
服を受け取ると勇太は椅子から立ち上がり足首まで長い黒い服を着た。
その後、勇太が「話があるって何でしょうか?」と問いかけると林太郎が口を開いた。
「座って話しましょうか」
「はい」
返事をすると勇太は林太郎の隣に座った。
「ミケ、この店に人が来ないようにしてくれ」
「わかった」
返事をするとミケは林太郎と勇太に背を向け魔法で控え室のドアを閉めると控え室と店のドアに鍵をかけた。
その後、ミケが振り返ると林太郎が勇太に向かって口を開いた。
「私の名前は林太郎といいます、白い子猫のシロちゃんに頼まれて山本勇太さん、あなたを救いに来ました」
「猫に頼まれたって冗談ですよね」
「これを見てください」
そう言って林太郎は水晶で白い子猫のシロの姿と林太郎達に勇太を助けてくれと頼み込むシロの姿を見せた。
勇太は驚いた顔で見つめた。
「子猫のシロが喋るなんて…」
「驚きますよね」
「……」
「シロはあなたを心配してます」
「シロに会わせてください」
「わかりました」
そう言って椅子から立ち上がると林太郎は魔法の杖で白い子猫のシロを勇太の前に出現させ言葉を喋れるようにした。
「シロ!」
「勇太!」
「……」
白い子猫のシロを抱っこし身体を撫でると勇太が口を開いた。
「心配してくれてありがとう」
「勇太の辛い顔は見たくないだから」
「仕事、辞める」
「勇太」
「明日から別な仕事を探す」
「勇太さん」
「はい」
白い子猫のシロを抱っこしながら勇太は椅子から立ち上がり目を向けると林太郎が口を開いた。
「シロを連れて家に帰りなさい」
「先輩達はどうなるんですか?」
「ホスト達は俺に任せて勇太さんは心配しないで家に帰りなさい」
「わかりました」
白い子猫を抱っこしながらお辞儀をすると勇太は控え室を出ていった。
「ミケ、休憩室にいるホスト達は俺に任せてミケはNo.1ホストと男性スタッフを頼む」
「記憶を消して家に帰らせれば良いんだろ」
「その通り」
「終わったら?」
「終わったら先ににゃんこ島に帰ってて良いよ」
「わかった」
返事をしミケが控え室を出てNo.1のホストと男性スタッフの元に向かうと林太郎も控え室を出て休憩室に向かった。
そして林太郎は魔法の杖で倒れているホスト1人1人の記憶を消し目覚めさせ家に帰らせた。
「あとはNo.2のホストか」
そう言って倒れているはずのところに目を向けた林太郎はいないことに驚いた。
「動けるはずはないんだが」
林太郎がそう口にしたその時、休憩室のドアが閉まり鍵がかかった。
「……」
ドアに目を向けた林太郎は立っているNo.2のホストに驚いた。
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