「林太郎の思いは嬉しいが私には好きな人がいるんだ」
「好きな人って誰ですか?」
気になった林太郎は問いかけた。
その問いに菫は答えた。
「林太郎の兄の凛だ」
「え…」
「驚くよね」
「凛は知ってるんですか?」
「知ってたら君に言わないだろ」
「そうですよね」
「ゴメンね」
「わかりました」
ショックを受けた林太郎が菫にお辞儀をし背を向け離れていくと菫は申し訳なさそうな顔で見つめた。
落ち込みながら家に向かって歩いていると林太郎の前に三毛猫のミケが現れた。
「遅かったな」
「ミケ…」
「どうした元気ないな」
「ふられちゃった」
「え?」
歩いていく林太郎を見つめるとミケは林太郎に近づき一緒に家に向かった。
それから暫くして林太郎の家に着くと林太郎とミケは家の中に入った。
「林太郎、さっきのことなんだが」
「さっきのこと?」
「ふられたって」
「あぁ」
「ふられたってどういう意味なんだ」
「菫様に好きだって告白したら菫様にふられたんだ」
そう言って林太郎がベッドに近づき仰向けのまま倒れるとミケは魔法で髪と足首まで長い服が白と茶色とこげ茶で瞳の色が黄色の人間に変身した。
その後、ミケはベッドに近づき林太郎に覆い被さるとじっと見つめた。
「林太郎」
「……」
林太郎が目を開くとミケは無言で林太郎の唇に唇を重ねた。
その後、ミケが唇を離すと覆い被さりながら口を開いた。
「林太郎、俺と付き合わないか」
「慰めてくれてるのかありがとう」
「俺は本気で言ってる」
「ありがとう」
そう言って林太郎が身体を起こそうとしたその時、ミケに身体を倒され再び唇を奪われた。
その後、ミケは唇を離し真剣な顔で口を開いた。
「俺は本気で林太郎のことが好きなんだ」
「……」
「林太郎」
「悪い、1人になりたいんだ1人にしてくれないか」
「林太郎」
「頼む」
「わかった」
返事をするとミケは林太郎から離れ家を出ていった。
1人になった林太郎は身体を起こし指で唇に触れるとドキドキが高鳴った。
「猫の癖に優しいキスをするとは」
そう言って林太郎はドキドキしながら身体を倒しその後、眠りについた。
ー菫の家ー
窓際に立ちながら菫は同じく窓際に立っている凛に向かって口を開いた。
「林太郎から告白された」
「何て返事をしたんだ?」
「好きな人がいると返事をした」
「林太郎、ふられたのか」
「お前が余計なことを言うから」
「……」
菫に胸ぐらを掴まれ凛は無言で見つめた。
すると突然、菫に唇を奪われた。
「……」
「……」
菫が唇を離すと凛は驚いた顔で見つめた。
そして凛は菫に「好き」だと告白され再び驚いた。
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