「どうだ?」
「ここから徒歩で30分ぐらいだな」
ミケの問いに水晶を見つめながら林太郎が答えるとミケは行き交う人々の視線を感じた。
「俺達、見られてないか」
「俺達の姿が珍しいんだろ、気にするな行くぞ」
そう言って水晶を消し林太郎が歩き出すとミケも歩き出した。
それから30分後、林太郎とミケはホストクラブの前に着いた。
「なぁ、まわりにもホストクラブがあるけどここで良いのか?」
「ホストクラブ輝き、ここに山本勇太さんはいる」
「山本勇太さんが出てくるまで外で待つのか?」
「出てきた人に名前を聞くの面倒くさいだろ、中に入るぞ」
そう言って林太郎がドアを開くと林太郎とミケは中に入った。
「いらっしゃいませ」
男性スタッフが話しかけると林太郎が口を開いた。
「山本勇太さんがここで働いていると思うんですが呼んでいただけますか」
「お待ちください」
林太郎から離れると男性スタッフはNo.1ホストに近づいた。
「あいつがボスかな」
小さな声でミケが口にすると林太郎が口を開いた。
「ミケ、あの2人を頼む」
そう言って林太郎が奥に向かって歩き出すと「勝手に動かないでください」と言って止めに行こうとする男性スタッフをミケはさえぎった。
「……」
キョロキョロと見つめながら林太郎は休憩室と書かれた看板の部屋に目を向け近づき声を聞いた。
そして林太郎がドアを開きホスト達が勇太を乱暴している姿を目撃するとホスト達が林太郎に目を向けた。
「誰だよあんた」
「……」
無言で林太郎は中に入り勇太に近づくと身体を支えながら立たせた。
「大丈夫ですか?」
「…はい…」
「控え室はありますか?」
「この部屋の隣です」
「話があります、行きましょう」
そう言って林太郎が勇太の身体を支えながらドアに向かって歩き出すとNo.2のホストが林太郎の肩に触れ口を開いた。
「誰だって聞いてるだろ」
「隣の部屋に行っててください」
「はい…」
全裸姿の勇太が休憩室を出ていくと林太郎は振り返りホスト達に向かって口を開いた。
「皆で1人を襲うなんて君達は最低ですね」
「何だと」
林太郎の言葉にムカついたNo.2のホストが林太郎の頬を殴ろうとしたその時、仲間のホスト達が倒れ始めた。
「お前らどうしたんだ」
驚いた顔で倒れているホスト達をNo.2のホストが見つめると魔法の杖を持ちながら林太郎が口を開いた。
「眠ってるだけだから心配するな」
「あんた何者だよ」
怯えた口調でNo.2のホストが口にすると「君も眠りなさい」と言って林太郎は魔法の杖をNo.2のホストに向け眠らせた。
その時、ミケが現れた。
「林太郎」
「2人はどうした」
林太郎が目を向けるとミケが口を開いた。
「うるさいから眠らせた」
「勇太さんが隣の部屋にいる行こうか」
そう言って林太郎とミケは休憩室を出ていき控え室に向かった。
ー控え室ー
全裸姿で椅子に座りながら勇太がうつ向いていると魔法の杖を持ちながら林太郎とミケが近づいてきた。
「……」
勇太は顔をあげ林太郎とミケに目を向けた。
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