「今日もこの近くでの事件、か。」
2XXX年。数年前に始まった「第三次世界大戦」が激化した年だ。住宅街での銃撃や殺人となれば住人は皆顔色を変えない。しかし、そんな毎日でもやはり自宅近くでの事件となればやはり気になるのは仕方ないだろう。
発端は、会議を行っていたいずれも新興国の大統領、首相、大臣など要人がいきなりテレビに割り込んできた全身黒服の男の「政府、という自体こそが人間を堕落させるもとである」などうんたらかんたら言い終えた瞬間に苦しみだし、いきなり死んだことだ。今では、この事件はその月の名前から『血の五月』と呼ばれている。
さて、捜査が続くに連れこの男が世界の覇権を握り、利益を牛耳るある国のスパイ機関のものであることが分かった。当然、この新興国の連盟は捜索を続けた。しかしこの男は自国に逃亡し、他国の手が届かなくした。
それから、戦争が続いた。
各国は様々な武器を用いた。
銃、化学兵器、核、それから能力者。
能力者は、約十万人に一人現れる、と言われている。遺伝の可能性はない。
何より、能力に関しては研究が進んでいない。研究員が相次ぎ不自然な死を迎えたからである。
能力者はその名の通り、科学や物理的な法則全てを無視した能力を持つ。
炎を操り、場にある全てを燃やすことも簡単な能力者。
自分の触れたものを触った他人全てを、自分の支配下に置く能力者。
他人との交流を全てできなくする能力者。
三分後の未来を予測する能力者。
人間の精神に、情報を上書きすることのできる能力者。
そしてー
その場にある空気を操る能力者。
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