乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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222話 事件後の平和な日常-3

公開日時: 2023年8月21日(月) 10:38
文字数:460

「仕方がない……。こうなったら……」


 私は魔法の詠唱を開始する。

 結界魔法を発動させて、アリシアさんの侵入を阻むつもりだ。


「【絶対隔離の堅牢壁】!!」


 うんうん。

 我ながら、腕を上げたものね。

 卒業パーティーの断罪イベントは厄介なものだったけれど、あれを通して魔法の力量が大幅に上がった。

 もはや、私を止められる者はいない。

 バッドエンドも無事に回避したことだし、新学期が始まるまで私は惰眠――じゃなくて、ゆっくりと英気を養うことにしよう。

 そんなことを思いつつ、私はベッドに寝転ぶ。

 しかし――

 パリンッ!


「へ……?」


 まるでガラスが割れるような音が響いた。

 次の瞬間、アリシアさんが部屋の扉を開けて入ってくる。


「イザベラ様! やっぱりここにいました!!」


「う……。アリシアさん、今の結界魔法をあっさりと破ってくるとは……」


「えへへ。イザベラの力になれるよう、がんばって特訓してますから!」


「……」


 私は言葉を失う。

 やはり、この『ドララ』世界の正ヒロインは彼女だと痛感した。

 闇の瘴気がなくなり、迷いがなくなった彼女は、凄まじい速度で成長している。

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