「仕方がない……。こうなったら……」
私は魔法の詠唱を開始する。
結界魔法を発動させて、アリシアさんの侵入を阻むつもりだ。
「【絶対隔離の堅牢壁】!!」
うんうん。
我ながら、腕を上げたものね。
卒業パーティーの断罪イベントは厄介なものだったけれど、あれを通して魔法の力量が大幅に上がった。
もはや、私を止められる者はいない。
バッドエンドも無事に回避したことだし、新学期が始まるまで私は惰眠――じゃなくて、ゆっくりと英気を養うことにしよう。
そんなことを思いつつ、私はベッドに寝転ぶ。
しかし――
パリンッ!
「へ……?」
まるでガラスが割れるような音が響いた。
次の瞬間、アリシアさんが部屋の扉を開けて入ってくる。
「イザベラ様! やっぱりここにいました!!」
「う……。アリシアさん、今の結界魔法をあっさりと破ってくるとは……」
「えへへ。イザベラの力になれるよう、がんばって特訓してますから!」
「……」
私は言葉を失う。
やはり、この『ドララ』世界の正ヒロインは彼女だと痛感した。
闇の瘴気がなくなり、迷いがなくなった彼女は、凄まじい速度で成長している。
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