魔獣討伐の功績が私一人のものになりそうだったので、慌ててアリシアさんとオスカーにも手柄を分けた。
二人ともとても喜んでくれている様子だ。
これで一件落着かな。
「やっぱりそうか! さすがのイザベラさんでも、一人では厳しいと思ったんだ」
「俺もそう思っていたぜ」
「オスカー様の氷魔法は有名ですものね」
「素敵ですわぁ……」
「アリシアさんも、最近メキメキ実力を上げているっていう噂だよな」
「いつも居残りして練習しているらしいぞ」
狙い通り、話題の中心は私から逸れた。
トドメを刺した私だけでなく、アリシアさんやオスカーも評価されている。
よしよし。
これでいい。
後はこのまま解散の流れになればいいんだけど……。
「皆さん、少しよろしいでしょうか?」
ここで、それまで沈黙を保っていたオスカーが口を開いた。
何か言い出す気だ。
私は警戒心を露にする。
「私の氷魔法が貢献をしたということは事実。しかしそもそも、私の氷魔法はイザベラ殿に助言をいただいたものです。イザベラ殿がいてくれたおかげで、今の私があるのです。私は、イザベラ殿がいなかったら、きっと今頃は死んでいました。ですから、ここはやはりイザベラ殿の功績というべきです」
オスカーは皆の前で堂々と宣言をする。
また始まった。
これさえなければ完璧なのに。
彼は私を過大評価しているのだ。
私と彼が初めて会った時点で、彼の氷魔法はそれなりに高いレベルにあった。
領地の未来を憂いている様子だったので、氷魔法の使い道の一つとしてカキ氷を提示してあげた。
また、少しだけ魔法制御に対するアドバイスのようなものもした気がするが、そこまで褒められるほどではないと思う。
そして、次にアリシアさんが発言する。
「わたしも同じようなものです。光魔法の適性があるからという理由でこの学園に入学させていただいたのはいいもの、なかなか上手くいかなくて……。イザベラ様のおかげで、こうして無事に二年生に進級でき、実地訓練にも来ることができました。イザベラ様がいてくださらなかったら、わたしなんてとっくに退学させられていたと思います。イザベラ様のおかげなんです。ですから、わたしがささやかながらも示した功績は、全てイザベラ様のものになるべきです」
アリシアさんまでそんなことを言い出すとは……。
彼女に関しては、当初放置気味だった。
入学式でこそ声を掛けたけど、それ以上関わるとバッドエンドルートに関係してくるんじゃないかと疑念を持ったからだ。
ここまで感謝されることではない。
「「「おおーー!!」」」
周囲が感嘆の声を上げる。
オスカーやアリシアさんの言葉で盛り上がっているようだ。
まずい流れだ。
どうしよう。
私の心の中で焦りが生じる。
こんな形で称賛されるなんて想定外なんだけど……。
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