魔獣討伐の功績をアリシアさんとオスカーに押し付けようとしたけど、逆に私の功績を主張されてしまった。
とんだ誤算だ。
「やっぱりイザベラ様はすごいぜ!」
「さすがだ! 俺たちとは格が違うよ」
「オスカー様の氷魔法にご助言されていたなんて……。素晴らしいですわ」
「アリシアさんが急速に成績を伸ばしている裏に、イザベラさんの気遣いがあったのね。納得だわ」
生徒達が次々と私を褒め称える。
私は内心の動揺を隠しつつ、無表情でそれを聞いていた。
何とかまた手柄を押し付けられないか考えるが、これはもう無理そうだ。
私が諦めた時だった。
「お前達、何を騒いでいる!」
大声が聞こえてきた。
そちらに目を向けると、そこには金髪碧眼の男がいた。
この国の王子であるエドワード殿下だ。
隣にはカインもいる。
「あ、エドワード王子様だ……」
「殿下も私たちの話を聞かれていたのかしら……」
「カイン様、相変わらず男らしくて素敵ですわ」
「しかし何故ここに? 今日の実地訓練は俺達二年生が対象だ。三年生のお二人は無関係のはずだが……」
生徒達が呟く。
どうやら、エドワード殿下とカインの登場によって場は収まりそうな雰囲気になった。
「この森で大型の魔獣が出たという情報が入った。実地訓練を中止し、早急に……」
「おいエド、あれ……」
「ん?」
エドワード殿下の言葉の途中で、カインが何かに気づいたようだ。
二人がこちらに視線を向ける。
「「な、何じゃこりゃあぁ!!」」
二人は揃って叫んだ。
その下りは、もうやったよ。
一般生徒よりも遥かに強いエドワード殿下とカインだが、さすがにこのサイズの魔獣は初めて見たらしい。
「でかいぞ、こいつは一体!?」
「ああ、大きいな……。それにこの魔力量、ただ事じゃないぞ。どうやって討伐したんだ?」
二人が言うように、目の前にいる魔獣はかなり大きい。
彼らは、一般生徒達の方に視線を向ける。
一般生徒達は首を横に振ったかと思うと、私の方に視線を向けた。
「「…………」」
エドワード殿下とカインが私の方を見る。
私はせめてもの抵抗として首を横に振り、アリシアさんとオスカーの方を見た。
しかし、二人とも顔を逸らす。
「またイザベラか……。相変わらず、お前は規格外だな」
「俺も頑張ってきたけどよ。イザベラ嬢には負けるぜ。イザベラ嬢は本当に人間なのか?」
二人は疑うこともなくそう言う。
まぁ、二人には私の強さの一端を見せてしまっているからね。
「……」
私は無言でそっぽを向いたのだった。
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