「オスカー様は、魔道具に精通されていらっしゃいましたか?」
「いいえ、あいにく魔道具については多少の知識がある程度でして」
「そうですか……。それでしたら、解決は難しいのでは?」
「ふふ……。暑さを和らげる方法は、何も魔道具だけとは限らないでしょう?」
「……え?」
私は目を瞬かせる。
すると、オスカーは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
そして、優雅に魔法を発動する。
「――【アイス・エリア】」
次の瞬間――
私達の周囲に冷気が発生した。
暑さが一気に和らぎ、心地よい空間へと変貌していく。
「まぁ! すごい!」
「これが氷魔法の力なのね!」
「素敵!」
周囲の令嬢達が歓声を上げた。
彼女達はすっかり感動した様子で、尊敬の目で彼を見つめている。
「これは……! オスカー様、また腕を上げられましたね!」
「ありがとうございます。イザベラ殿にそう言っていただけると、練習した甲斐がありました」
「さすがは氷魔法のエキスパートと呼ばれるだけのことはありますわね。さすがはオスカー様」
私は感心したように言う。
すると、彼は少し照れたような表情を見せる。
こうしたオスカーの活躍により、不意に訪れた暑い日は無事に乗り越えることができたのであった。
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