「なに!?」
「えっ?」
オスカーの放った氷魔法はイザベラを襲うことはなかった。
代わりに、アリシアとオスカー自身を囲むようにして凍結させていく。
「イザベラ殿、どうかご無事で……」
「ば、馬鹿な。どうして……」
目論見が崩れ、アリシアが驚愕に目を見開く。
「ふ、ふふふ……。アリシア殿、あなたの思い通りにはさせません。道連れにして差し上げましょう」
「くっ! ――だが、甘いですよ。こんな氷魔法、わたしの実力ならすぐに砕けます!」
足元まで凍った状態で、アリシアがそう言う。
普段はイザベラの影に隠れがちだが、彼女もまた天才だ。
なにせ、半分は平民の血が流れているにもかかわらず王立学園への入学を許可されたぐらいなのだから。
「そうですね……。ですが、私の役目は果たしました」
「なにっ!? まさか……」
オスカーの言葉を受けて、彼女は思い出す。
この場には、イザベラへ想いを寄せていた男がもう一人いたことを。
「イザベラ……嬢……」
「カイン!?」
カイン・レッドバースが、ゆっくりとイザベラ達へと近付いていく。
その瞳から理性の色は消え失せて、まるで獣のような狂気が宿っていたのだった。
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