フレッドが想定以上に強い。
闇の瘴気の影響で、力が暴走しているのだ。
このままだと、体に良くない影響があるという。
エドワード殿下、カイン、オスカーには頑張ってほしいのだけれど、残念ながら苦戦していた。
「皆さん。私も加勢しますよ!」
私はそう言って、彼らに駆け寄っていく。
「イザベラ嬢!? 今のフレッドは危ねえぞ!!」
「女のお前は引っ込んでいろ! イザベラ! ここは俺達で何とかする!!」
「その通りですね。危険なことは私達に任せていただきたい!」
カイン、エドワード殿下、オスカーが揃って止めてくる。
その言葉のチョイスにそれぞれの性格が出ているなぁ。
「フレッドは私の家族です! 黙って見ているなんて、できませんわ」
私はそう言い、一歩前に出る。
そして、右手を前に突き出した。
「【我が願いに応じ、聖なる光よ。悪しき闇を打ち払え】」
私はそう唱える。
これは光魔法だ。
『ドララ』の知識がある私は、当然光魔法の文言くらいは知っている。
闇の瘴気に侵されたフレッドを無力化するには、光魔法が最適だ。
「おおっ! イザベラ嬢は、そんな魔法まで使えたのか!」
「いえ、待ってください。これは……」
カインが感嘆する一方で、オスカーは心配顔だ。
よく見ているなぁ。
やっぱり、イケメン四人の中でも、魔法の知識や分析力はオスカーが随一だね。
「【ホーリー・レイ!!】」
私が魔法を唱えると、光のレーザーが一直線に伸びていった。
だが、それはフレッドに届く直前で霧散してしまう。
やっぱり駄目か。
アリシアさんの手ほどきで発動はできるようになったのだけれど、まだまだ出力が心もとない。
やはり、もっと練習が必要だ。
「イザベラ! やりたいことは分かったが、やはり無理だ。ここは俺達に――」
「いえ、次はもっと近づいてみます。皆さんは援護をお願いしますわ」
私はエドワード殿下の言葉を遮り、再び詠唱を始めた。
さっきは十メートル以上離れていたから、威力不足だったんだ。
私は、じりじりとフレッドに詰め寄る。
「ぐっ! 言うことを聞かない女め……! 仕方ない、俺達で援護するぞ!」
「お任せください。【アイス・アロー】」
エドワード殿下の指示に従い、オスカーが援護してくれる。
彼の放った魔法が、フレッドに襲い掛かる。
「【プラント・ウォール】」
だが、それは植物の壁によって阻まれてしまった。
私は、それを横目に見ながらフレッドへさらに近づいていく。
(よし。ここまで近づければ……)
出力的には問題なくなるだろう。
私のかけがえのない義弟を、無事に浄化したいところだ。
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