乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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211話 イザベラ-5【エドワード視点】

公開日時: 2023年7月13日(木) 10:17
文字数:515

 もはや、俺が彼女と結ばれる可能性はないのではないか――。

 そんな不安を抱えてしまったためか、俺の心は闇の瘴気に蝕まれてしまった。

 夢うつつの中で過ごす、彼女との学園生活は素晴らしいものだった。

 しかし、それも長くは続かない。

 アリシアの暗躍により、俺はイザベラに剣を向けてしまう。


「殿下、お答えくださいませ……。殿下は……、私を愛してくださっていたはずです……。なのに、なぜこのようなことを……?」


「真実の愛に目覚めただけだ。アリシア嬢こそ、俺の運命の人なんだ」


 違う。

 こんなことを言いたいわけではない。

 しかし、俺の意思に反して口が勝手に動いていた。

 このままでは、他ならぬ自分の手で愛する者を殺めてしまう……。

 それだけは嫌だった。

 俺は自分の手の制御を必死に取り戻し、自らの胸を剣で貫く。


「イザベラ、この場から離れてくれ……」


 もう自分の命は諦めた。

 後は、彼女の無事を祈るのみ。

 俺はそう考え、静かに目を閉じたが――


「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」


 イザベラの言葉が聞こえた気がした。

 死にかけの俺でも、最後に何かできることがあるかもしれない。

 俺は必死に、最後の気力を振り絞るのだった――。

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