もはや、俺が彼女と結ばれる可能性はないのではないか――。
そんな不安を抱えてしまったためか、俺の心は闇の瘴気に蝕まれてしまった。
夢うつつの中で過ごす、彼女との学園生活は素晴らしいものだった。
しかし、それも長くは続かない。
アリシアの暗躍により、俺はイザベラに剣を向けてしまう。
「殿下、お答えくださいませ……。殿下は……、私を愛してくださっていたはずです……。なのに、なぜこのようなことを……?」
「真実の愛に目覚めただけだ。アリシア嬢こそ、俺の運命の人なんだ」
違う。
こんなことを言いたいわけではない。
しかし、俺の意思に反して口が勝手に動いていた。
このままでは、他ならぬ自分の手で愛する者を殺めてしまう……。
それだけは嫌だった。
俺は自分の手の制御を必死に取り戻し、自らの胸を剣で貫く。
「イザベラ、この場から離れてくれ……」
もう自分の命は諦めた。
後は、彼女の無事を祈るのみ。
俺はそう考え、静かに目を閉じたが――
「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」
イザベラの言葉が聞こえた気がした。
死にかけの俺でも、最後に何かできることがあるかもしれない。
俺は必死に、最後の気力を振り絞るのだった――。
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