まさか、貴方達のイチャイチャぶりを見せつけられるのに耐えられないからです、とは言えない。
イザベラが言葉に詰まっているときだった。
「おいおい、イザベラ嬢。またアリシア達に絡んでいるのかよ?」
「褒められたことではありませんね。流石にどうかと思いますよ」
カインとオスカーがやって来た。
ここ最近、イザベラはアリシアをよく虐めている。
しかし、タイミングを見計らったかのようにエドワード王子、カイン、オスカー達がやって来るため、なかなか決定的な嫌がらせを出来ないでいた。
そして、虐めが露見する度に彼らはアリシアと友好を深め、イザベラへの悪感情を募らせていく。
「あら、ごきげんよう。何か御用ですか? 私はエドワード王子とお話をしたいのですけれど」
イザベラは半年前の事件で、闇の瘴気に侵されてしまった。
記憶や知識が失われたわけではない。
ただ、闇の瘴気の影響で自分の欲望に忠実になり、そして他者への思いやりを失ってしまったのだ。
今の彼女は、自分が一番可愛いとしか思っていない。
他人を蹴落としてでも自分が幸せになりたいと思っている。
そんな彼女が、なかなか手に入れられないものがある。
それが、エドワード王子の心だ。
かつてバッドエンドを回避するために自制していたイザベラの方がエドワード王子にとって魅力的だったという事実は、皮肉としか言えない。
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