「つれねぇこと言うなよ、イザベラ嬢」
「その通りですね。これからの王立学園を担っていく者同士、友好を育むべきでしょう?」
「……」
イザベラは沈黙する。
彼女以外にも、エドワード王子、カイン、オスカー、アリシア、フレッドの五人は闇の瘴気に侵されてしまっている。
かつて仲良く過ごしていた頃の面影は失われつつある。
だが、完全になくなったわけではない。
友好と敵対。
愛情と憎悪。
相反する様々な感情が、ギリギリのバランスで保たれていた。
(ふん……。有象無象に比べれば悪くないけれど、エドワード王子ほどの魅力はないわね)
イザベラは、カインやオスカーに向けてそのような評価を下す。
能力、人柄、家柄、容姿、イザベラとの思い出など……。
それぞれに優劣はあるものの、総合的にはエドワード王子に軍配が上がる。
何より、イザベラとエドワード王子は既に婚約が発表された身なのだ。
彼女は、エドワード王子以外になびくつもりはなかった。
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