乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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206話 イザベラ殿-4【オスカー視点】

公開日時: 2023年6月26日(月) 14:10
文字数:531

 それでも、私なら勝てるはずだと信じて努力を続けてきました。

 ですが、どこかで焦りが蓄積していたのでしょう。

 不意の事故により、私の心は闇の瘴気によって蝕まれてしまいます。


「無様ですね。万が一にも逃げられないようにしてあげましょう。……【氷結鎖縛】」


 アリシア殿の主導にて行われた、イザベラ殿への断罪。

 私もそれに加担してしまいました。

 イザベラ殿の役に立つために磨いてきた氷魔法により、彼女を拘束してしまったのです。

 自分で自分の意思を制御できません。

 しかしそれでも何とか抵抗を試みます。


「――【アイス・プリズン】。ふ、ふふふ……。アリシア殿、あなたの思い通りにはさせません。道連れにして差し上げましょう」


 私は首謀者のアリシア殿を道連れにするべく、彼女と私を包むように氷魔法を展開しました。

 これで私の役目は果たしました。

 首謀者のアリシア殿さえ無力化すれば、イザベラ殿は無事で済むでしょう。

 薄れゆく意識の中、そんなことを考えました。

 しかし――


「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」


 イザベラ殿のそんな言葉が聞こえた気がしました。

 彼女とはいえ、完全無欠ではありません。

 こんな死にかけの私でも、まだできることが残っているはず――

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