それでも、私なら勝てるはずだと信じて努力を続けてきました。
ですが、どこかで焦りが蓄積していたのでしょう。
不意の事故により、私の心は闇の瘴気によって蝕まれてしまいます。
「無様ですね。万が一にも逃げられないようにしてあげましょう。……【氷結鎖縛】」
アリシア殿の主導にて行われた、イザベラ殿への断罪。
私もそれに加担してしまいました。
イザベラ殿の役に立つために磨いてきた氷魔法により、彼女を拘束してしまったのです。
自分で自分の意思を制御できません。
しかしそれでも何とか抵抗を試みます。
「――【アイス・プリズン】。ふ、ふふふ……。アリシア殿、あなたの思い通りにはさせません。道連れにして差し上げましょう」
私は首謀者のアリシア殿を道連れにするべく、彼女と私を包むように氷魔法を展開しました。
これで私の役目は果たしました。
首謀者のアリシア殿さえ無力化すれば、イザベラ殿は無事で済むでしょう。
薄れゆく意識の中、そんなことを考えました。
しかし――
「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」
イザベラ殿のそんな言葉が聞こえた気がしました。
彼女とはいえ、完全無欠ではありません。
こんな死にかけの私でも、まだできることが残っているはず――
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