「土下座しなさい」
「え……?」
「聞こえなかったのかしら? この私に無礼な態度を取ったことに対して、地面に頭をつけて謝罪しろと言っているのよ!」
「そ、それは……いくらなんでも……」
「黙りなさい!! 下賤の分際で私の命令に逆らおうっていうの!? 私は王子の婚約者よ。つまり、未来の王妃様。平民混じりは頭を垂れるのが当然でしょう?」
「…………」
「ほら、早くなさい! あなたの行動次第では、許してあげなくもないわよ?」
「…………はい」
アリシアは無言でその場に座り込み、額を地面へ擦り付けた。
屈辱的な行為であった。
「それでいいのよ。あなたみたいな薄汚い人間に、高貴な私が貶められるなんてあり得ないものね……」
イザベラは満足そうに呟く。
彼女はアリシアを踏みつけようとした。
だが、それは叶わない。
「そこまでだ!! イザベラ・アディントン、これ以上の狼籍は見過ごせないぞ!」
エドワード王子が姿を現したからだ。
「イザベラ嬢、なんてことを……」
「侯爵家令嬢として、許されない行為ですよ」
カインとオスカーまでいる。
いつの間にか彼らが近くに来ていたようだ。
イザベラは舌打ちをするのだった。
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