乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

191話 凶刃と凶弾

公開日時: 2023年5月4日(木) 13:45
文字数:570

「目を覚ましなさい! アリシア・ウォーカー!!」


(お願い……届いて……!)


 そんな願いを込めて叫ぶも――やはり効果はないようだ。

 それどころか、むしろ逆上させてしまったようで、アリシアの動きがより激しくなったようにも思える。


(ダメか……)


 思わず諦めそうになるイザベラ。

 アリシアは、その隙を見逃さなかった。

 一気に距離を詰めると、鋭い爪を振りかぶってきたのだ。


「あハハハハハハハ!!」


 勝ち誇ったような笑い声と共に振り下ろされた凶刃を――イザベラは間一髪で回避することに成功した。


(危なっ!?)


 冷や汗をかきつつもホッと息をつく彼女だったが、それも束の間のことに過ぎなかった。

 彼女は殺気を感じ取ると、慌ててその場から飛び退く。

 するとその直後――彼女がいた場所を何かが通り過ぎ、後方の壁を粉々に吹き飛ばした。


(あれは……!)


 よく見れば、その正体はすぐに分かった。

 それは闇の瘴気の塊だったのだ。

 まるで弾丸のように放たれたそれは、恐ろしい威力を誇っていた。

 もしも当たっていたらどうなっていたのか……想像するだけで背筋が凍り付く思いである。


「マダマダァアアッ!!」


 アリシアが再び襲い掛かってくる。

 イザベラは防戦一方になるしかなかった。


「ハァ……ハァ……」


 肩で息をしながら、イザベラは目の前の相手を見つめていた。

 対するアリシアの方も、さすがに疲れが出てきたようだ。

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