「目を覚ましなさい! アリシア・ウォーカー!!」
(お願い……届いて……!)
そんな願いを込めて叫ぶも――やはり効果はないようだ。
それどころか、むしろ逆上させてしまったようで、アリシアの動きがより激しくなったようにも思える。
(ダメか……)
思わず諦めそうになるイザベラ。
アリシアは、その隙を見逃さなかった。
一気に距離を詰めると、鋭い爪を振りかぶってきたのだ。
「あハハハハハハハ!!」
勝ち誇ったような笑い声と共に振り下ろされた凶刃を――イザベラは間一髪で回避することに成功した。
(危なっ!?)
冷や汗をかきつつもホッと息をつく彼女だったが、それも束の間のことに過ぎなかった。
彼女は殺気を感じ取ると、慌ててその場から飛び退く。
するとその直後――彼女がいた場所を何かが通り過ぎ、後方の壁を粉々に吹き飛ばした。
(あれは……!)
よく見れば、その正体はすぐに分かった。
それは闇の瘴気の塊だったのだ。
まるで弾丸のように放たれたそれは、恐ろしい威力を誇っていた。
もしも当たっていたらどうなっていたのか……想像するだけで背筋が凍り付く思いである。
「マダマダァアアッ!!」
アリシアが再び襲い掛かってくる。
イザベラは防戦一方になるしかなかった。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をしながら、イザベラは目の前の相手を見つめていた。
対するアリシアの方も、さすがに疲れが出てきたようだ。
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