「オスカー様……。その目は……?」
「うぅ……。イザベラ、殿……」
「一体どうしてしまったの? どうしてそんなに苦しそうなの?」
「ああぁ……。私は、あなたを……殺さなければならない……」
オスカーは苦悶の表情を浮かべながらも、杖を取り出す。
一流の魔法使いは杖に頼らずとも魔法を発動できる。
だが、杖による補助を受ければさらに高威力の魔法を扱うことが可能だ。
「やめて! お願いだからやめてください!」
「イザベラ様、この男は正気を失っているようです。やはり汚らわしい男など信用できませんね。イザベラ様に彼は相応しくありません」
アリシアが不敵な笑みを見せる。
この一連の事件は、彼女の企みである。
エドワード王子、フレッド、オスカー、カイン。
彼らの闇の瘴気を増幅させ、イザベラを断罪させる。
間一髪のところでイザベラを救い出し、自分への印象を良くしようとしたのだ。
全ては、女性同士という禁断の愛を成立させるためである。
「――【アイス・プリズン】」
オスカーが氷魔法を発動する。
アリシアの企み通りであれば、その氷魔法はイザベラを襲い、それをアリシアが助けることで二人の絆が深まるはずであった。
だが――
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