魔獣と戦っている。
なかなか厄介な相手だ。
「グルルアァッ!!!」
奴の次の標的はアリシアさんだった。
魔獣が鋭い視線を彼女に向ける。
「ひぃっ!」
アリシアさんが怯えた声を出した。
このままじゃ危ない。
最近メキメキ実力を伸ばしているとはいえ、アリシアさんは実戦慣れしていないんだ。
私やオスカーがフォローしないと……。
「グオオォオッ!!!」
魔獣がアリシアさんに向かって走り出す。
その時だった。
「せ、聖なる光よ。悪しき者の目を眩ませよ。【フラッシュ】!!」
アリシアさんは咄嵯に魔法を使った。
ピカッ!
強烈な閃光が辺り一面に広がる。
私は思わず手で顔を覆った。
ドゴーン!!
メキメキッ!!!
魔獣は方向感覚を失い、木に激突したようだ。
「はあ、はあっ! な、何とかなりましたぁ……」
アリシアさんが震える声でそう言う。
「素晴らしい目眩ましです! ……凍てつく冷気よ。我が敵を包み込め。【アイスプリズン】!」
オスカーがすかさず魔法を唱えた。
すると、魔獣の周りに巨大な氷の壁が現れ、奴を閉じ込めた。
「イザベラ殿! 今です!!」
「はい!」
私は返事をして、魔獣に向けて駆け出した。
そして覇気を開放し、剣を振り下ろす。
「はああぁっ! 【天剣斬・改】!!」
ザシュッ!!!
私は魔獣の首を一刀両断にした。
首はゴロリと地面を転がっていく。
やった……。
討伐完了だ。
ふう、一時はどうなるかと思ったけど、無事倒せてよかった。
「お疲れさまです、イザベラ殿。さすがの剣筋ですね」
オスカーが声を掛けてきた。
「はい、なんとか倒すことができました」
私は彼に言葉を返す。
「ふぅ……。もうダメだと思いました……。イザベラ様とオスカーさんがいてくれて本当に助かりました」
アリシアさんもホッとした様子で言った。
「いいえ、アリシア殿の機転のお陰ですよ。おかげで攻撃のチャンスが生まれました。ありがとうございました」
「そうですね。アリシアさんの光魔法には助けられたわ」
オスカーと私は、アリシアさんに感謝の言葉を述べる。
「そんな、わたしなんて大したことしてませんよぉ~」
謙遜するアリシアさん。
彼女は相変わらず、自分を過小評価する傾向にあるみたいだ。
「何を仰います。あなたのおかげで隙が生まれたのですから、もっと自信を持ってください」
「そうだよ、アリシアさん」
私とオスカーは、アリシアさんに笑顔を向ける。
「は、はい。ありがとうございます」
アリシアさんは頬を赤く染めながら、ぺこりと頭を下げたのだった。
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