「ココはセマイデスねぇ……」
アリシアが呟く。
一際大きな破壊音が響いたかと思うと――部屋の中心あたりの屋根に巨大な穴が空いたのが見えた。
どうやらアリシアが魔法で開けた穴のようだ。
そのまま穴から外へと飛び出した二人の影は――夜の空でぶつかり合った。
ギャリリリリッ!
金属同士が擦れ合うような不快な音が鳴り響き、火花が散る。
「アリシアさん! もうやめてちょうだい!」
空中で静止したまま、イザベラが悲痛な叫びを上げる。
だが――アリシアは止まらない。
「あハハハハハハハハハハッ!!」
狂気的な笑い声を上げながら、再び攻撃を仕掛けてくる。
先程よりも更に速く、重い一撃だ。
「くっ……!」
イザベラはそれをなんとか受け流すことに成功するも、衝撃で大きく吹き飛ばされてしまう。
(このままじゃまずいわ……!)
どうにかして彼女を正気に戻す方法を考えなければ、このままでは一方的にやられてしまうだけだ。
(どうすればいいの……?)
必死に頭を回転させ、打開策を考えるイザベラだったが――そんな余裕すら与えないとばかりに、アリシアの攻撃が再開される。
(こうなったら一か八か……)
覚悟を決めると、彼女は大きく息を吸い込んだ。
そして――大声で叫んだ。
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