「前にも言ったが、俺は新生徒会の副会長を務めることになった」
「…………」
そうだっけ?
いや、確かにそんなことを言っていた気もする。
王立学園の生徒会は第四学年から第六学年までの生徒で構成される。
私はまだ第三学年だが、一つ上のエドワード殿下は第四学年。
王子でもある彼が、経験を積むために生徒会入りするのは自然な流れだろう。
「俺が副会長になったからには、王立学園をより良いものにしたいと思っている。その始まりとなる入学式も、これまでとは一味違ったものになるように調整をしてきた」
「はぁ……。それは素晴らしいですね」
「そこでだ! その入学式の完成度をより高めるために、イザベラに協力してもらいたいのだ!!」
エドワード殿下は熱っぽく語る。
しかし、協力と言われても何をすればいいのだろう?
私に出来ることなんて、限られている。
ああでも、『覇気』のおかげで力仕事はできるか。
生徒や来賓客のための椅子を並べるくらいなら、私でも出来るだろう。
「承知しました。私でよろしければ、お手伝いいたします」
「おお、ありがとう! さすがは俺の婚約者だ!!」
「あはは……。婚約の件は、保留としたはずでは……」
「細かいことはいい! では、イザベラも参加してくれるということで調整しておくぞ!! 今年の新入生には問題児が何人かいるようだが、そいつらもまとめてひれ伏すだろう! イザベラの前ではな! はーっはっはっは!!!」
エドワード殿下は高笑いしながら去っていった。
ずいぶんと上機嫌だ。
「……あれ?」
私は首を傾げる。
少し妙なことを言っていた気がする……。
私が任されたのって、椅子を並べたりする力仕事だよね?
大丈夫かな……。
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