アリシアさんとフレッドの対立が激しさを増し続けている。
「くそぉっ!!」
彼女は再び腕を振る。
すると、今度は巨大な鎌が現れる。
「これで終わりにしてやる!」
アリシアさんはフレッドに斬りかかる。
だが、フレッドはそれを難なく避ける。
「くたばれえぇぇぇぇぇぇっ!!」
アリシアさんは何度も鎌で切りつける。
だが、それも全て避けられてしまう。
「ちぃ……! ちょこまかと……!」
「おいおい、女がおっぱい丸出しで暴れてんじゃねえよ! 下品な奴だな!!」
フレッドがそんなことを言う。
彼女のドレスをはだけさせたのはフレッドなのだが。
ずいぶんな言い草だ。
普段の紳士で優しいフレッドはどこへ行った。
「黙れ! お前なんかに見られても何も感じねぇよ!!」
アリシアさんは再び鎌を振りかぶる。
そして、それをフレッドに向かって振るった。
「おせーんだよ!」
フレッドはそれを避けようともせずに突っ込む。
そのままアリシアさんの懐に入り込み、思いっきりアッパーを繰り出した。
「ぐふぅっ!?」
「どうだ、僕のパンチは効いただろう?」
さっきからずっとだけれど、フレッドは女相手にも容赦しないね。
手加減無しなら、フレッドが勝ちそうだ。
(ここはタイミングを見てアリシアさんに加勢して……。そのまま二人を無力化すれば、あるいは……)
私は頭の中でそんなことを考えていた。
だが、事態はさらに予想外の展開を見せる。
「ぐっ! はぁ、はぁ……。いいや、全然痛くも痒くもないぜ? この程度じゃなぁ!!」
「なにぃっ!?」
「イザベラ様に思いが届かなかった時の痛みに比べれば、蚊が止まったようなモンだよ!! おらあああぁっ!!!」
「ぐっはあああぁっ!?」
アリシアさんがフレッドに強烈な一撃を食らう。
彼は口から血を吐き出しながら、後方へ弾け飛んでいった。
「フレッドっ!?」
私は思わず叫んでしまう。
まさか、アリシアさんがここまで強いとは思わなかった。
「くそっ、なんなんだお前!?」
「はっ、わたしだって負けられねーんだ! 好きな人のためにも、ここで負けられない!! わたしの思いは世界で一番強い!!」
「何言ってやがる! 僕の思いの方が強いに決まってるだろ!!」
二人は少し離れたところから睨み合っている。
ここまでの近接戦で、もはやボロボロ……。
(割って入るならここかな?)
私がそんなことを考えた瞬間だった。
「もうチマチマした攻撃は飽きたぜ……。僕の全力を見せてやるよ!」
「同感だ! わたしの全力でお前を消し飛ばす!!」
二人の闇の瘴気が激しく燃え上がったのだった。
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