さらに数日が経過した。
イザベラのイライラは募っていく一方だ。
あれからというもの、エドワード王子とアリシアはよく行動を共にするようになった。
それだけではない。
可愛い弟のフレッドもイザベラを避けている。
少し前に、キツめに拒絶したのが効いているのだろう。
さらには――
「へへっ。今日は俺の勝ちだな」
「くっ……。いい気になるなよ! カイン!!」
「すごいです! お二人共、お見事な剣さばきでした!」
イザベラは歯ぎしりする。
アリシアの魔の手がカインにまで及んでいるからだ。
エドワード王子とカインは剣術の腕を競い合うライバルである。
エドワード王子を介して、アリシアとカインは仲を深めていったようだ。
また、別の時間帯では――
「次の講義は錬金術ですか! オスカーさん、予習はバッチリですよね?」
「もちろんですよ、アリシア殿」
アリシアとオスカーは、錬金術の教室で一緒に勉強をしている。
オスカーは学年でもトップクラスの成績を誇る優等生だ。
一方のアリシアは、実技はともかく座学の成績は芳しくない。
しかしオスカーは、アリシアに教えることで自身の復習にもなると、積極的に教えるようになっていた。
その光景を見て、イザベラのイライラはさらに募る。
(この泥棒猫め……! エドワード殿下だけではなく、カインやオスカーまで……! フレッドにも避けられているし……どうしてこうなったの!?)
イザベラは心の中で悪態をつく。
だが現実は非情である。
アリシアの周りには人が集まっていくのだ。
まるで光に集まる虫のように。
このままでは、いずれは学園中の人間がアリシアの元に集まってしまうかもしれない。
(そんなことになれば、私の計画が台無しよ!! エドワード王子と結婚して、贅沢三昧するはずだったのに……! こうなれば、仕方がないわ……)
そして、ついにイザベラは決断する。
これ以上、自分の計画通りに事が進まないようなら、直接手を下すしかないと。
放課後、イザベラは校舎裏にアリシアを呼び出すことにしたのだった。
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