(さて、中身を確認するか……って……!?)
俺は思わず目を疑った。
なんと、そこにあったのは金貨だったのだ!!
それも何枚も!
「こ、こいつは……!?」
俺は驚きつつも、冷静に考える。
まず、これだけの大金を貴族が持っていること自体に不思議はない。
だが、この財布の持ち主は俺とそう変わらない少女だった。
いくら貴族でも、子供に持たせる金額としては異常である。
思わぬ事態に、俺は少しばかり狼狽して周囲への警戒を怠ってしまってしまう。
そのときだった。
「へへっ! ずいぶんと大金を持っているじゃねぇか。俺にも分け前を分けてくれねぇか?」
チンピラが現れた。
スラム街で見かけたことのある男だ。
(ちっ……。嫌な野郎に見つかったもんだぜ……)
俺は盗みや恐喝に慣れている。
しかし、あくまでも弱い奴らを相手にしてきただけだ。
目の前にいるような、力のありそうな連中とは極力関わりたくないのだ。
「聞いているのか? おいガキ!! 俺の金を寄越せ!!」
「俺の金だと? ふざけんじゃねえぞオッサン! これは俺が盗んできた金だ!!」
「うるさいクソガキが!」
男は突然激昂すると、拳を振り上げてきた。
反応する暇もなく、俺は殴り付けられてしまう。
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