「皆様、なぜここにいるのです? ここは立ち入り禁止区域ですよ」
「とある人物から情報を得たのでな。お前の企みについて調べさせてもらった」
「……」
「イザベラ、君はアリシアに何をしたんだ?」
「何のことでしょうか?」
「惚けるな。今、君がアリシアにしたことは目に余るものがある」
「殿下に指図される謂れはありません」
「これは命令だ。アリシアへの暴行をやめろ。そして彼女に謝れ。さもなくば、こちらにも考えがある」
エドワード王子はイザベラを睨む。
その視線は冷たかった。
「アリシアさんに謝ればよろしいのですね? わかりました。アリシアさん、申し訳ありませんでした。これでよろしいですか?」
イザベラはアリシアにほんの少しだけ頭を下げる。
その様子からは、微塵も反省の色が見えなかった。
用は済んだとばかりに、イザベラはその場を去ろうとする。
「待てっ! そんな謝罪では……」
「いいのです、エド。わたしも悪かったのですから」
「アリシア……」
エドワード王子とアリシアが視線を合わせる。
その仲睦まじい様子を見て、イザベラのイライラはさらに募っていく。
「……覚えてなさい」
まるで人を殺しかねないような形相で二人を見つつ、イザベラはその場を後にしたのだった。
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