その後の姉上も、着々と功績を上げていった。
王子として増長気味であったエドワード殿下をうまくあしらったり、スリの少年カインの才を見出してレッドバース子爵家の養子になる遠因を作ったり、没落寸前であったシルフォード伯爵家の跡取り息子であるオスカーに適切なアドバイスを行ったり……。
十三歳で学園に入学すると、前述の三人に加えて、多くの男子生徒からの人気を集めていた。
それでも姉上は決して増長せず、平民混じりの特待生アリシア・ウォーカーに助け舟を出したりもしていた。
その活躍ぶりを見ていると、改めて彼女こそが本物の天才であるということを実感させられた。
少しだけ欠点があるとすれば、異性の恋心に対して鈍感すぎることくらいだろうか?
いや、あれはもはや罪と言っていいレベルかもしれない。
一年目の秋祭りでは、僕も振り回されてしまった。
そして、二年目の秋祭り。
事故によって溢れ出した闇の瘴気は、僕を含めた複数の者に大きな影響を与えた。
特に大きな影響を受けたアリシアは策略を巡らせ、僕もそれに加担してしまった。
「僕も殿下に同意します。姉上に国外追放の処分は甘い。アディントン侯爵家の名誉を守るため、死んでいただきましょう」
僕は心にもないことを姉上に向かって言ってしまう。
一度でも闇の瘴気を受け入れてしまったが最後、半ば以上に僕の意識を乗っ取られてしまったような状態だったからだ。
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