「ぐっ……。くそっ、くそっ!! 俺達の努力は何だったんだ!」
「わたくし達は、来る日も来る日も魔法の鍛錬に明け暮れてきましたのに……。わたくし達に何が足りないというのです……?」
四席と五席の生徒が悔しげに歯噛みする。
彼らは、イザベラとオスカーを追い抜くことを目標に、血の滲むような努力を重ねてきたのだ。
しかし、いざ蓋を開けてみれば、二人は彼らを置いてどんどん先に進んでしまう。
特に、イザベラの伸び方は異常だった。
まるで、これまでは手を抜いていただけと言わんばかりに、めきめきとその成績を伸ばしているのだ。
彼らの精神的ショックは計り知れない。
他の一般生徒は、まだ幸福だっただろう。
イザベラをドラゴンとすれば、彼ら一般生徒はアリだ。
その実力差すら、まともに把握できやしない。
それに対して、四席と五席はネズミくらいの実力はある。
ドラゴンの圧倒的実力を前に、格の差を思い知り絶望したのだ。
「ふふふ。あなた達に何が足りないか……。よろしければ、教えて差し上げましょうか?」
意気消沈する二人に、イザベラは声をかけた。
「あ、ああ! 教えてくれ!!」
「いったいどこで、これほどの差が生じてしまったのですか!?」
二人の切羽詰まった様子に、イザベラは笑みを深める。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「あなた達に足りないもの……それは才能ですわ」
「……は?」
「……え?」
「聞こえませんでした? あなた方の耳は飾り物なのかしら? それとも、脳ミソが腐っているのかしら? まぁ、どちらにせよ、答えは同じですけれど」
イザベラは冷たく言い放つと、言うべきことは終わったと言わんばかりに踵を返した。
そして、オスカーと一緒にその場を離れる。
残された四席と五席は、ただ絶望した表情でその場にうずくまっているのだった。
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