さらに日々は過ぎていく。
新たな年を迎え、一月となった。
この『ドララ』世界の暦や季節感は、現代日本に準拠している。
日本で制作されたゲームだからだ。
三月になれば卒業生を見送る立食パーティが開かれる。
そして四月になると新入生を迎えると同時に、それぞれ進級する。
現在第二学年のイザベラやアリシアは第三学年に、第一学年のフレッドは第二学年となるのだ。
そのフレッドだが――。
「おはようございます、姉上。今日も素敵ですね。結婚を前提にお付き合いしてください」
「…………」
イザベラは頭を抱えていた。
フレッドが毎日のように求婚してくるようになったからだ。
朝は必ず挨拶に来るし、休み時間には教室まで押しかけてくる。
昼食時には食堂で相席しようとする。
授業中や放課後にも、隙あらば愛の告白をしようとしてくる始末である。
ちなみに今は、学園の授業終わりの休憩中だったりする。
「……フレッド、いい加減にしてちょうだい」
「はい、何でしょう?」
「あなたね、私にそんなことを言って恥ずかしくないの? 婚約者がいる身よ、私は」
「もちろん承知していますよ」
「ならどうして――」
「でも、僕の気持ちは変わりませんから。王子と結婚なんて、絶対に肩が凝りますよ。僕と結婚しましょう。煩わしい仕事なんて、姉上には振らないようにしますよ。だから――」
イザベラは頭痛を覚えつつ、大きなため息を吐いた。
フレッドは相変わらずだ。
「姉上は素晴らしい女性です。僕が幸せにします。結婚しましょう。子供は何人欲しいですか?」
「こ、子供ですって!? そ、それはまだ早いというか……」
「ふむ。では、いつ頃が良いでしょうか? やはり卒業まで待たないといけないでしょうか? 先はまだ長そうですね……」
「え、あ……」
イザベラは真っ赤になって俯いた。
その様子を見て、フレッドは満足げに微笑んでいる。
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