「どうする? 私に従う? それとも、衛兵に突きだされる方がいいかしら?」
とんでもない少女だと思った。
この歳でそこまで考えているとは……。
だが、同時にその誘いに乗らずにはいられなかった。
こうして、俺はイザベラ嬢に救われた。
身体強化の魔法を習得した俺は、スラム街で自警団を結成。
そして半年後――俺はレッドバース子爵家の養子として迎え入れられた。
スラム街の孤児が、貴族家の養子になる……。
普通では考えられないことだ。
それだけでも十分に奇跡と言えるだろう。
しかし、そんな俺にさらなる奇跡が起きる。
王侯貴族が通う名門中の名門――王立学園に特待生として入学することができたのだ。
しかも、剣術では学年でトップの成績をおさめた。
総合評価ではエドワード殿下――いや、エドの奴に一歩及ばなかったが。
それでも、一年遅れで入学してきたイザベラ嬢と同じ学園に通うことができたのは本当に嬉しかった。
少しばかり厄介なのは、俺と同学年のエドの他、オスカーやフレッド、そしてイザベラ嬢と同性のはずのアリシア嬢までもがイザベラ嬢にアプローチしていることだ。
どうやら、彼女に人生を救われたのは俺だけじゃないらしい。
それならば、さらに努力して彼女に相応しい男になるしかない。
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