乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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215話 イザベラ様-4【アリシア視点】

公開日時: 2023年7月27日(木) 10:36
文字数:597

「おお! ここにいたか、イザベラ!」


「エドワード殿下。どうされましたか?」


 エドワード王子がイザベラ様に話し掛けたことで、わたしの計画は台無しになってしまいました。

 彼女はわたしにとって特別な人です。

 でも、それは他の人も同じ。

 錚々たる方々がイザベラ様の周りに集まってきます。

 わたしも必死にイザベラ様とお近づきになろうとするのですが、なかなか上手くいきません。

 わたしにとっての彼女は唯一無二の特別な人ですが、彼女にとってのわたしは大勢の中の一人でしかない。

 そう思うと、胸が苦しくなりました。


 そんな黒い気持ちが蓄積していったせいでしょうか。

 二年目の秋祭りで、わたしは闇の瘴気に当てられてしまったようです。

 思いが暴走し、自分の体を上手く制御できません。


「わたしはイザベラさまが好きでしたぁ。でもぉ、あなたはわたしのことを避け始めていたでしょう? だからわたしぃ、頑張ったんですよぅ」


「何を……?」


「愚かな男達を唆して、イザベラさまを理不尽に断罪させる。そして、わたしを好きになってもらおうとしたんですよぉ!」


 彼女に群がる害虫どもを排除すれば、わたしだけのイザベラ様になる。

 わたしはそんな思いを胸に、暴走を続ける。

 しかし――


「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」


 彼女の呟きを聞いて、ふと我に返る。

 違う。

 わたしはこんなことがしたかったんじゃない。

 わたしは――

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