「おお! ここにいたか、イザベラ!」
「エドワード殿下。どうされましたか?」
エドワード王子がイザベラ様に話し掛けたことで、わたしの計画は台無しになってしまいました。
彼女はわたしにとって特別な人です。
でも、それは他の人も同じ。
錚々たる方々がイザベラ様の周りに集まってきます。
わたしも必死にイザベラ様とお近づきになろうとするのですが、なかなか上手くいきません。
わたしにとっての彼女は唯一無二の特別な人ですが、彼女にとってのわたしは大勢の中の一人でしかない。
そう思うと、胸が苦しくなりました。
そんな黒い気持ちが蓄積していったせいでしょうか。
二年目の秋祭りで、わたしは闇の瘴気に当てられてしまったようです。
思いが暴走し、自分の体を上手く制御できません。
「わたしはイザベラさまが好きでしたぁ。でもぉ、あなたはわたしのことを避け始めていたでしょう? だからわたしぃ、頑張ったんですよぅ」
「何を……?」
「愚かな男達を唆して、イザベラさまを理不尽に断罪させる。そして、わたしを好きになってもらおうとしたんですよぉ!」
彼女に群がる害虫どもを排除すれば、わたしだけのイザベラ様になる。
わたしはそんな思いを胸に、暴走を続ける。
しかし――
「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」
彼女の呟きを聞いて、ふと我に返る。
違う。
わたしはこんなことがしたかったんじゃない。
わたしは――
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