乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

183話 ダーク・シールド

公開日時: 2023年4月6日(木) 17:45
文字数:564

「【ダーク・シールド】!!」


 アリシアの前に闇魔法の障壁が出現する。

 それはあらゆる攻撃を防ぎきる強力な防御魔法であるが――


「ああぁぁっ!?」


 次の瞬間には、アリシアの胸が貫かれていた。

 闇魔法が破られたのだ。


(う、嘘……。わたしの闇魔法が……)


 動揺するアリシア。

 イザベラやオスカーの影に隠れがちではあったが、彼女も現第二学年のトップ層なのである。

 本来の得意魔法は光魔法とはいえ、闇の瘴気をその身に宿した今、闇魔法の腕前も一流であった。

 そのはずなのだが、カインの剣はそれを容易く突破したのだ。


(ありえない……!!)


 なぜ、どうして?

 そう混乱する頭を振り払いながら、必死に打開策を考える。


(あ、だめ……。意識が……)


 だがそれも限界だった。

 出血多量により意識を失う寸前、アリシアの瞳に映ったものは――


「ああ、やっぱり美しいです……。共に人生を歩みたかった……」


 憧れの女性、イザベラの姿だった。

 そして、アリシアは意識を失う。

 彼女の魔法抵抗がなくなり、オスカーの氷魔法が侵食してくる。

 こうして、アリシアとオスカーは共に物言わぬ氷像となった。


「グルルルル……」


 氷に閉じ込められた二人を見て、カインは唸るような声を上げる。

 もう、この二人に対する興味はないらしい。

 そして次にカインは、ゆっくりと視線を移動させる。

 彼の視線の先にあるのは、イザベラだった。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート