「【ダーク・シールド】!!」
アリシアの前に闇魔法の障壁が出現する。
それはあらゆる攻撃を防ぎきる強力な防御魔法であるが――
「ああぁぁっ!?」
次の瞬間には、アリシアの胸が貫かれていた。
闇魔法が破られたのだ。
(う、嘘……。わたしの闇魔法が……)
動揺するアリシア。
イザベラやオスカーの影に隠れがちではあったが、彼女も現第二学年のトップ層なのである。
本来の得意魔法は光魔法とはいえ、闇の瘴気をその身に宿した今、闇魔法の腕前も一流であった。
そのはずなのだが、カインの剣はそれを容易く突破したのだ。
(ありえない……!!)
なぜ、どうして?
そう混乱する頭を振り払いながら、必死に打開策を考える。
(あ、だめ……。意識が……)
だがそれも限界だった。
出血多量により意識を失う寸前、アリシアの瞳に映ったものは――
「ああ、やっぱり美しいです……。共に人生を歩みたかった……」
憧れの女性、イザベラの姿だった。
そして、アリシアは意識を失う。
彼女の魔法抵抗がなくなり、オスカーの氷魔法が侵食してくる。
こうして、アリシアとオスカーは共に物言わぬ氷像となった。
「グルルルル……」
氷に閉じ込められた二人を見て、カインは唸るような声を上げる。
もう、この二人に対する興味はないらしい。
そして次にカインは、ゆっくりと視線を移動させる。
彼の視線の先にあるのは、イザベラだった。
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