「イザベラ様~~~!!!」
ノックの音と共にアリシアさんの声が聞こえてきた。
これはマズイ。
闇の瘴気がなくなった彼女は、元の天真爛漫な性格に戻っている。
それでいて、半平民ながらに王立学園に入った才覚も健在だ。
いや、むしろ迷いがなくなったためか、連休中にもかかわらずその実力をグイグイと伸ばしている。
……え?
それの何がマズイかって?
そんなの、決まってるじゃない。
「こちらにいらっしゃるのは分かっているんです! イザベラ様~~?? 入りますよーー!!!!」
アリシアさんは元気いっぱいだ。
この調子だと、ドアを突き破って入ってくるかもしれない。
「アリシアさん! 私は今、部屋にいないわ! また今度にしましょう!!」
「なんだ~。イザベラ様、今はいらっしゃらないのですね。分かりました。では、また後で……」
ふぅ。
何とか誤魔化せたかな……。
「――って、そんなわけないでしょう! イザベラ様! わたしの耳は誤魔化せませんよ! イザベラ様のお声が、この部屋の中から聞こえました!!」
「しまった!」
思わず声が出てしまう。
私の完璧な居留守作戦が見破られるなんて……。
どうしよう。
このままじゃ、アリシアさんが入ってきてしまう。
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