四席と五席が、オスカーやイザベラにイチャモンをつけている。
「そ、そうとも限らないだろう! 早熟の天才が、成長するにしたがって伸び悩むことだってよくある話だ!」
「それに、魔法には向き不向きがありますわ! イザベラさんの得意魔法は、土や木だったはず……。それがゴーレムに通じるかどうか……」
「やれやれ……。下等な末端貴族は、無知蒙昧ですね」
「な、なにぃ……!」
「どういうことですか!」
オスカーが肩をすくめると、四席と五席が怒りの声を上げた。
「イザベラ殿の才能の底は、私ですら推し量ることができていません。彼女にはそれほどの才があるのです。それを、あなた方ごときが測れるわけがないでしょう? その程度のことも分からないとは……。だから、底辺を這いずり回るんですよ」
オスカーが嘲笑う。
「こ、この野郎ぉ~!!」
「許せませんわぁー!!」
激高した四席と五席がオスカーに飛び掛った。
オスカーが迎撃態勢を取る。
だが――
「【ひれ伏しなさい】」
イザベラの一言により、四席と五席は地面に押しつぶされた。
「ぐあっ! な、なにが起きたんだ!?」
「か、体が動きませんわ。どうしてですの!?」
「あなた方は、イザベラ殿を侮りすぎです。彼女には、あなた方ごときの理解が及ばない能力があるのです」
オスカーがそう説明する。
彼は敢えて詳細を説明しなかったが、これはイザベラの『覇気』の能力だ。
言葉に『覇気』を乗せて発することで、対象の動きを強制的に止めることができる。
「くっ……。おのれぇ~!」
「ま、負けてたまるものですか……」
四席と五席が悔しそうに呟いた。
そんな彼らに、イザベラが冷たい視線を向ける。
「ふん。羽虫が騒がしいですわね。そこまで言うのであれば、今の私の実力を見せて差し上げましょうか」
彼女はそう言って、前に出たのだった。
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