乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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142話 ひれ伏しなさい

公開日時: 2022年11月14日(月) 17:48
文字数:742

 四席と五席が、オスカーやイザベラにイチャモンをつけている。


「そ、そうとも限らないだろう! 早熟の天才が、成長するにしたがって伸び悩むことだってよくある話だ!」


「それに、魔法には向き不向きがありますわ! イザベラさんの得意魔法は、土や木だったはず……。それがゴーレムに通じるかどうか……」


「やれやれ……。下等な末端貴族は、無知蒙昧ですね」


「な、なにぃ……!」


「どういうことですか!」


 オスカーが肩をすくめると、四席と五席が怒りの声を上げた。


「イザベラ殿の才能の底は、私ですら推し量ることができていません。彼女にはそれほどの才があるのです。それを、あなた方ごときが測れるわけがないでしょう? その程度のことも分からないとは……。だから、底辺を這いずり回るんですよ」


 オスカーが嘲笑う。


「こ、この野郎ぉ~!!」


「許せませんわぁー!!」


 激高した四席と五席がオスカーに飛び掛った。

 オスカーが迎撃態勢を取る。

 だが――


「【ひれ伏しなさい】」


 イザベラの一言により、四席と五席は地面に押しつぶされた。


「ぐあっ! な、なにが起きたんだ!?」


「か、体が動きませんわ。どうしてですの!?」


「あなた方は、イザベラ殿を侮りすぎです。彼女には、あなた方ごときの理解が及ばない能力があるのです」


 オスカーがそう説明する。

 彼は敢えて詳細を説明しなかったが、これはイザベラの『覇気』の能力だ。

 言葉に『覇気』を乗せて発することで、対象の動きを強制的に止めることができる。


「くっ……。おのれぇ~!」


「ま、負けてたまるものですか……」


 四席と五席が悔しそうに呟いた。

 そんな彼らに、イザベラが冷たい視線を向ける。


「ふん。羽虫が騒がしいですわね。そこまで言うのであれば、今の私の実力を見せて差し上げましょうか」


 彼女はそう言って、前に出たのだった。

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