世界の強制力は残酷だ。
どんなに抗おうとしても、結局のところ最後には破滅へと収束してしまう。
「イザベラぁ……!」
エドワード王子が剣を構えてイザベラに迫る。
彼女は理解してしまった。
破滅ルートに入ってしまっていることを。
「……っ!?」
不意にイザベラは腕に痛みを感じた。
見れば、左腕にナイフが突き刺さっていた。
「僕も殿下に同意します。姉上に国外追放の処分は甘い。アディントン侯爵家の名誉を守るため、死んでいただきましょう」
フレッドが冷徹な声で言う。
彼がイザベラに突き刺したのは、毒塗りのナイフだ。
「うぅ……」
イザベラは苦悶の声を上げる。
彼女の身体が毒によって蝕まれているのだ。
それでも何とかこの場を逃れようと、イザベラは必死に体を動かす。
「ははっ! 見ろよ、この女。這いつくばって逃げやがるぜ!」
「無様ですね。万が一にも逃げられないようにしてあげましょう。……【氷結鎖縛】」
カインが笑い、オスカーが魔法を発動させる。
「きゃあああっ!?」
たちまちイザベラの全身は凍り付き、身動きが取れなくなってしまった。
しかし、まだ奥の手はある。
もしもの時のために、回復魔法を込めたペンダントを身につけてきた。
これで使えば……。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!