「でも……それでもいい……。私にはまだできることがある……」
たとえこれが罰なのだとしても、それでも構わないと思った。
どうせ死ぬならせめて誰かのために死にたいと、そう思ったのだ。
「みんな、まだ蘇生できるはず。私の全生命を魔力に変換すれば、何とかなるかも……」
彼女の言う通り、この場にいる人間は全員まだ生きている。
ならば間に合う可能性はあるだろう。
イザベラは決意すると、大きく息を吸い込んだ。
自身の生命力を全て使い切ってもいいから、彼らを生き返らせようと考えたのだ。
「ごめんなさい……お父様、お母様……」
しかしその時――
カタカタ……。
「え……?」
突然聞こえてきた物音に、イザベラは思わずそちらを見る。
そこには――氷の牢獄の中からこちらを見る異形の姿があった。
「ひっ!? ま、魔族!?」
思わず悲鳴を漏らすイザベラ。
だが、それはよく見ると違ったようだ。
パリーン!!
ガシャーン!!!
ガラスの砕けるような音と共に、氷の檻が粉々に砕け散る。
そしてその中から現れたのは――
「……イザベラ……さまぁ……」
まるで魔族のような邪悪な笑みを浮かべたアリシアだった。
「ひぃっ!?」
予想外の展開に混乱するイザベラだったが、すぐに気を取り直す。
「あ、アリシアさん……? そのオーラはどうしたのですか?」
「うふふふふ……知りたいですかぁ……?」
アリシアの雰囲気は明らかにおかしかった。
こんな邪悪な雰囲気をまとった少女ではなかったはずなのだが……。
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