私はアリシアさんと秋祭りを回っている。
手始めに焼き鳥を平らげた。
次は果物屋を見つけて、二人でリンゴ飴のようなものを買った。
「美味しいですね、イザベラ様」
「そうね。こういうのも良いかもしれないわね」
「はい、すごく楽しいです!」
アリシアさんは満面の笑みを浮かべている。
「アリシアさんは王都に来て、良かったと思うことはある?」
「はい、いっぱいあります。まず、イザベラ様に会えたことが一番嬉しいです。あと、こうしてお祭りを一緒に回れることも……」
「……」
照れくさくて言葉が出なかった。
私も同じことを考えていたなんて……。
私はバッドエンドを回避するために、いろいろと頑張ってきた。
畑仕事から始まり、ポーションを開発したり、カインや孤児達に魔法の指導をしたり、エドワード殿下を魔獣から守ったり、オスカーに氷魔法のアドバイスをしたり……。
後はもちろん、日々の座学とかダンスの練習なんかにも取り組んできた。
その一方で、バッドエンド回避を意識するあまり人とは距離を取りがちだったかもしれない。
だけど、それだけじゃダメなんだよね。
やっぱり、実際に人と関わっていかなくちゃいけないんだ。
私は今、それを実感している。
アリシアさんと出会って、私の世界は大きく変わりつつある。
「イザベラ様? どうされました?」
「いえ、なんでもないの。ちょっと考え事をしていただけよ」
「そうですか」
アリシアさんはニコニコと微笑んでいる。
その笑顔を見てると、こちらまで幸せな気分になる。
「ねぇ、アリシアさん」
「なんです?」
「私もあなたに会えて本当によかったと思っているわ」
「……」
アリシアさんは黙ってしまった。
何か気に障ることを言っただろうか。
「ごめんなさい、迷惑だったかしら?」
「い、いえ、違います! 嬉しくて、つい……」
「ふふっ、なら良かったわ」
「はい、わたしもイザベラ様にお会いできて、本当に幸せです」
私達は見つめ合いながら、笑い合ったのであった。
「あ、あのイザベラ様、一つお願いしてもいいでしょうか」
「あら、なにかしら? 遠慮せずに言ってみて」
「わたし、イザベラ様とダンスを踊ってみたいです」
「ダンスを? ……ああ、もう少ししたらダンスの時間になるわね。でも、どうして私と? アリシアさんなら、素敵な男性を選り取り見取りでしょうに……」
「いえ! わたし、イザベラ様と踊りたいのです!」
「えっと……」
アリシアさんは真剣に目を見てくる。
そんなに期待された目をされると断りづらいんだけど……。
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