「イザベラ~~!! 会いたかったぞぉ~~!!」
「お父様~~!!」
私と父は熱い抱擁を交わす。
――なんてことはしない。
私ももういいお年頃だからね。
実父とはいえ、男性に抱きつくのは恥ずかしい。
直前で、サッと避ける。
「おかえりなさい、イザベラ」
「はい、ただいま戻りました。お母様」
私は母の出迎えに答える。
フレッドもまた、彼の母と挨拶を交わしていた。
そのまま、私は家族団らんの一時を過ごす。
「イザベラ、何だかお前……」
「はい? 私がどうされましたか? お父様」
「一皮剥けたな」
「え……? そ、そうでしょうか?」
私は戸惑う。
確かに、私は前回の里帰りよりも成長しているとは思う。
闇の瘴気の件があったからね。
でも、それをすぐに指摘されるとは思わなかった。
というか、あの件は父上にも報告していないわけで……。
「ああ。前よりも大人っぽくなった感じがするよ。これも、学園生活のおかげかな」
「そ、そうですね。おほほ……。王立学園には優秀な人がたくさんいて、切磋琢磨していますから」
私は適当に取り繕った。
あの件を説明しようとしたら、いろいろと面倒くさいからね。
ここは誤魔化すに限る。
その後も、楽しく無難な家族団らんが進んでいく。
そして――
読み終わったら、ポイントを付けましょう!