「……いいでしょう。教えてあげますよぉ」
そう言ってアリシアは自分の胸に手を突っ込んだ。
ズブブッ!
グチャッ!
ブチィッ!
そんな生々しい音が響き渡り、彼女の胸元が左右に裂ける。
「ひっ!?」
あまりにもグロテスクな光景に、イザベラは息を飲む。
そして、左右に裂けた箇所に何かがあることに気がついた。
それは――紫色の結晶体だ。
大きさはピンポン玉くらいだろうか?
アリシアの心臓付近に、禍々しいオーラを放ちつつ組み込まれている。
「これぇ、何だかわかりますかぁ?」
「……」
イザベラは何も答えない。
いや、答えることができないと言った方が正しいだろう。
あまりにも異常な光景を前に、思考が停止しているのだ。
そんな彼女の様子に構うことなく、アリシアは話を続ける。
「これはねぇ……闇の瘴気の結晶なんですよぉ!」
「……っ!?」
それを聞いた瞬間、イザベラの顔から血の気が引いた。
ただでさえ強力で悪影響の強い闇の瘴気。
それは、近くで身に浴びただけで、善良なエドワード王子やフレッド達の性格を激変させてしまう効果がある。
そんな闇の瘴気の結晶を体内に入れたらどうなるか?
容易に想像がつくだろう。
そんな恐ろしい物を体内に取り込んでなお正気を保っていられるなど、普通ではあり得ないことだ。
「アリシアさん……あなたは一体……」
震える声で尋ねるイザベラに対し、アリシアはニヤリと笑って答えた。
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