「せいやあああぁっ!!」
「あっ!? あああああぁ!!!」
だが、そんなイザベラの心を読んだかのように、カインが鋭い剣撃を放つ。
それは的確にイザベラの手の筋を切断した。
「ひゃーっ!! すげえぇ!!」
「これが騎士の戦い方なのか!」
「さすがカイン様! 見事な腕前ですな!」
「悪女をぶっ殺せ!」
ギャラリーが沸き立つ。
イザベラは恐怖した。
そしてそれ以上に、深い悲しみを感じた。
自分のこれまでの頑張りは何だったのかと。
こんなはずではなかった。
フレッドと、カインと、オスカーと。
そしてエドワード王子と、確かな絆を育んできたはずだ。
「どうして……。どうしてなのです、殿下……」
「…………」
イザベラが掠れた声で尋ねるが、エドワード王子は何も答えなかった。
ただ黙ったまま、冷たい視線を向けてくるだけだ。
「その剣で私を守ってくださると仰ったではありませんか……。あれほど優しくしてくださったではありませんか……」
イザベラの目尻から涙が零れる。
しかしエドワード王子はただただ冷たく濁った瞳を向けるだけで、何も言ってくれない。
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