「大地よ、我が呼びかけに応えよ。その力をここに示し、敵を穿つ槍となれ。【ストーン・ジャベリン】!」
「ギャイン!?」
「水よ、我に仇なす者を貫く弾とならん。【ウォーター・ショット】!」
突如現れた魔獣に対し、イザベラは次々と魔法を放ってあっさりと倒してしまった。
全てが規格外だった。
わずか九歳にして特効薬を開発し、見事な畑を整備し、凄まじい魔法技量を持つ。
それでいて外見も麗しく、礼儀正しく、頭も良い。
まさに完璧超人だった。
「……ふむ。よし、決めたぞ!」
「何をでしょうか?」
「お前を俺の婚約者にしてやろう! 感謝しろよ、イザベラ!」
「えぇ!?」
俺は第一王子だ。
その婚約者になるということは、将来王妃になるということだ。
断られるはずがないと思ったのだが――
「申し訳ございません。お断りします」
まさかの回答だった。
俺の求婚を断る女がいるとは思わなかった。
もっとも、当時の俺としても面白半分に言っただけで必ずしも本気ではなかった。
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