乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

152話 フレッドのファン達

公開日時: 2022年12月19日(月) 10:06
文字数:599

「あ、あの~。フレッド様?」


「こちらへいらっしゃいませんか? 美味しいクッキーがありますの」


「お茶の準備ができていますのよ」


「毎日、鍛錬と勉学でお疲れでしょう。たまにはお休みされてはいかがでしょうか?」


 彼女達が丁寧な口調でそう告げる。

 フレッドは第一学年生だ。

 女生徒達から見て、フレッドは後輩あるいは同級生である。

 にも関わらず彼女達が丁寧な言葉を遣っている理由は何か。

 貴族令嬢としての常識もあるが、最大の理由はフレッドの放つオーラだ。

 第三学年の総合主席はエドワード王子であり、それに剣術主席のカインが続く。

 第二学年の総合主席はイザベラであり、氷魔法のオスカーや光魔法のアリシアがそれに続く。

 そして、第一学年の総合主席はフレッドなのだ。

 ポーション作成や毒物の取り扱いにおいて、ぶっちぎりのトップ。

 座学や護身術などでも安定して高い成績を収めている。

 しかも、顔立ちも非常に整っている上、血筋もアディントン侯爵家の養子であり、申し分ない。

 そんな彼が放つオーラは、普通の学生とは比べものにならないほどに強烈なのだ。

 女生徒達は、彼に対して自然に敬語を使うようになっていた。


「……すみません。僕は遠慮しておきます。これから用事があるので」


 フレッドは爽やかな笑みを顔に貼り付け、そう答えた。


「そ、そうなんですの……?」


「残念ですわ……」


 女生徒達は、その笑顔に見惚れると同時に、ガッカリとした様子で肩を落としたのだった。

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